2007 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウィルスによる感染B細胞内IRES依存性翻訳制御及び病原性発現機構の解析
Project/Area Number |
18590749
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
伊藤 敬義 Showa University, 医学部, 助教 (50317517)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井廻 道夫 昭和大学, 医学部, 教授 (70134228)
|
Keywords | HCV / B細胞トロピズム / リンパ増殖性疾患 / IRES依存性RNA翻訳 |
Research Abstract |
HCV感染者におけるHCVの肝外臓器、特にリンパ球系細胞への感染及びその病原性発現についての報告が散見する中、リンパ球細胞内でのHCV増殖、翻訳制御機構、生体への影響は明らかになっていない。我々はHCV感染者のリンパ球系細胞中HCV RNAを測定し、B細胞の64%、CD4(+)T細胞の11%、CD8(+)T細胞の13%にHCVゲノムが確認された。特に感染頻度並びに細胞内ウイルス量の高いB細胞について、HCV複製中間体とされるマイナス鎖HCV RNAの特異的検出法を確立し、解析するとウイルス量の高いB細胞ではマイナス鎖を検出し得た。以上から患者B細胞内でHCVは複製していることが示された。HCV感染者では混合型クリオグロブリン(Cg)血症や悪性リンパ腫などのリンパ増殖性疾患との関連が報告されているが、我々はB細胞中HCVとリンパ増殖性疾患関連マーカー(Cg、リウマチ因子、C3、C4、CH50)やC型肝炎患者の約10%で観察されるB細胞clonalityとの関連を解析したが明かな相関はなかった。また最近の欧米からの報告で、C型慢性肝炎患者で健常者と比較しB細胞増殖因子BAFFが高レベルであることが報告されている。我々は患者血清中BAFF濃度についても解析し、日本人においても血清BAFF濃度はC型慢性肝炎患者で高レベルであることを明らかにした。しかし、このBAFF濃度の高値はB型肝炎、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変患者でも高値を示し、慢性の肝内の炎症もしくは線維化と関連している可能性が示唆された。HCV感染後の自然治癒患者やIFN療法後のSVR患者において、リンパ球中にHCV RNA残存例が報告されている。このようなoccult HCVがどのような分子機序で複製、蛋白発現を制御しているか、悪性リンパ腫などの発生に関与するかは解明されていない。現在、B細胞内での高効率のHCV複製が確認されている患者中B細胞からHCVをクローニングし、B細胞トロピズムを持つHCVのゲノムの特徴を解析中である。
|
Research Products
(3 results)