2006 Fiscal Year Annual Research Report
膵線維化の新しい機序の解明と膵癌上皮細胞・間葉系細胞転換誘導に関する研究
Project/Area Number |
18590752
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 京子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (90187451)
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Keywords | 膵星細胞 / 好中球 / 膵腺房細胞 / 貪食 |
Research Abstract |
ラットの膵から膵星細胞、膵腺房細胞を、血液より好中球を分離した。 (1)アポトーシス好中球の貧食 好中球を48時間培養し、アポトーシスを誘導した。好中球のDNAを抽出しアガロースゲル電気泳動を施行し、DNA fragmentationを観察し、48時間培養後の好中球がアポトーシスを起こしていることを確認した。このアポトーシス好中球をミエロペロキシダーゼ(MPO)染色でラベルした後、膵星細胞に添加して食食能アッセイを施行した。光顕および電顕にて膵星細胞の細胞質内に好中球の取り込みが確認された。培養液中にTGF-β、TNF-α、IL-6を添加し、膵星細胞100個あたりの好中球の取り込み数を顕微鏡下で計測した。TGF-β、TNF-αを添加すると膵星細胞における好中球の取り込みは減少したが、IL-6では影響を受けなかった。好中球を貧食した膵星細胞のα-SMA発現は貧食していない膵星細胞と変化はなかった。 (2)ネクローシス膵腺房細胞の貧食 膵腺房細胞を48時間培養すると、膵腺房細胞はannexin VとPIの両者が陽性になり、late apoptosisまたはsecondary necrosisの状態であることが確認された。このネクローシス膵腺房細胞を膵星細胞に添加すると、膵星細胞質内に多数取り込まれるが、膵星細胞自身が細胞死に陥り、生細胞数が減少した。膵腺房細胞の上清を膵星細胞に添加しても膵星細胞の細胞傷害はおこらなかった。このことから、ネクローシス膵腺房細胞を貧食すると膵星細胞自身が障害を受けることが明らかになった。来年度はこの機序について検討する予定である。
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