2007 Fiscal Year Annual Research Report
膵線維化の新しい機序の解明と膵癌上皮細胞・間葉系細胞転換誘導に関する研究
Project/Area Number |
18590752
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
清水 京子 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 講師 (90187451)
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Keywords | 膵星細胞 / 膵腺房細胞 / 貪食能 / 膵癌細胞株 / 浸潤能 / 遊走能 |
Research Abstract |
1)膵星細胞によるネクローシス細胞の貪食実験 膵星細胞と膵腺房細胞をラットの膵臓から分離し、膵星細胞は2-4継代の細胞を、膵腺房細胞は採取後48時間培養してネクローシスを誘導した。ネクローシスとなった膵腺房細胞と膵星細胞をそれぞれ標識し共培養すると、膵腺房細胞は膵星細胞に貪食されることが確認された。また、貪食した膵星細胞は細胞死が誘導され、増殖能、コラーゲン産生が低下した。その後、時間経過とともにネクローシス腺房細胞を貪食した膵星細胞の増殖能、α-SMA産生は回復した。この結果から、膵星細胞によるネクローシス膵腺房細胞の貪食は、初期の段階では膵線維化を抑制する方向に作用するが、時間経過とともに膵星細胞の線維化機能が回復し、膵線維化を促進すると考えられた。 2)膵癌細胞の増殖、浸潤に対する膵星細胞の関与についての検討 膵星細胞は膵癌細胞の浸潤、遊走を促進することが報告されている。膵癌では閉塞性膵炎を合併することが多く、膵腺房細胞が傷害される。本研究ではネクローシス膵腺房細胞を貪食した膵星細胞の上清を膵癌細胞に添加し、膵星細胞から遊離される液性因子による膵癌細胞に対する影響について検討した。正常の膵星細胞から採取した上清を膵癌細胞株に添加すると膵癌の浸潤能、遊走能は亢進するが、膵腺房細胞を貪食した膵星細胞の上清は膵癌細胞株の増殖能、浸潤能、遊走能を有意に抑制した。この結果から、ネクローシス膵腺房細胞を貪食した膵星細胞から膵癌細胞の活動性を抑制する物質が遊離される可能性が示唆される。来年度はこの物質について検討する予定である。
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Research Products
(8 results)