2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590755
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岡崎 和一 関西医科大学, 医学部, 教授 (70145126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 恒一 関西医科大学, 医学部, 講師 (70278638)
内田 一茂 関西医科大学, 医学部, 講師 (40411516)
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Keywords | 自己免疫性膵炎 / 制御性T細胞 / 自己抗体 / PSTI |
Research Abstract |
自己免疫性膵炎はTリンパ球やIgG4陽性形質細胞の膵管周囲への著しい浸潤と特異な線維化が病理組織学的特徴であり、時に硬化性胆管炎、硬化性唾液腺炎、後腹膜線維症などを合併することがある。世界的に報告例が急増しており、わが国より発信された新しい疾患概念として、国際的にもほぼ認められつつある。高IgG/IgG4血症や自己抗体を認め、ステロイド治療が奏功するため、発症機序には自己免疫の関与が推定されているが、その詳細は不明である。一方、近年、多くの自己免疫疾患において制御性T細胞(Treg)の破綻や強力な抗原呈示細胞である樹状細胞(DC)の異常が関与することが明らかにされつつあるが、自己免疫性膵炎におけるTregの関与については不明である。 我々は発症機序に関しで、まず膵cDNAを組み込んだ蛋白発現ベクターと患者血清を用いで膵管上皮に分布するcarbonic anhydrase(CA)-IIおよび膵腺細胞に分布するlactoferrinを同定し、これら蛋白に対する自己抗体が臨床例の90%において検出されることを明らかにしてきたが、新たに、CA-II,lactoferrinと同様に広く外分泌腺に分布するPSTIに対する自己抗体の存在を同定した。また、自験臨床例54例と申請者らの開発したマウスモデルやWBN/Kob ratを含む膵炎動物モデルを用いて、末梢血の末梢血制御性T細胞の解析を行った。その結果、ナイーブ制御性T細胞(CD4^+CD25^+CD45RA)の低下とメモリー制御性T細胞(CD4^+CD25^+CD45RA^-)は増加していることを見出した。減少したナイーブ制御性T細胞が自己免疫性膵炎の発症に関与するとともに、IL-10、TGF-bの産生を促すメモリー制御性T細胞を介してIgG4産生や線維化を来たし、病態生理に関与する可能性がはじめて示唆された。
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