2006 Fiscal Year Annual Research Report
心不全発症における脳ー脂肪細胞系の関与とそれを応用した新規治療法の開発
Project/Area Number |
18590774
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩永 善高 京都大学, 医学研究科, 講師 (80360816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩井 哲雄 京都大学, 医学研究科, 講師 (50360095)
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Keywords | 心不全 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
本研究においては、心不全発症および進展における脳-脂肪細胞系の関与を基礎的に検討し、それを標的とした新しい心不全の予防、診断、治療法を開発することを目的とし研究を進めた。 ダールラット心不全モデルを用いて、代償性心肥大期(LVH)と心不全期(CHF)においてコントロール(低食塩食ラット;LS-11WとLS-17W)とにおいて、脳-脂肪細胞系に関与する心筋mRNA発現profileを検討した。CRHR2の主なリガンドであるUrocortin IIは心不全期に活性化するがその受容体CRHR2はdown-regulationされる。一方、APJとそのリガンドApelinは心不全期には共にdown-regulationされる。Urocortin II-CRHR2システム、Apelin-APJシステム共に心筋に対して陽性変力作用を持つことが明らかになっているが、心筋局所での動態制御は異なることが明らかになった。 次に、心筋Apelin-APJシステムの制御機構を検討した結果、アンギオテンシンレセプター拮抗薬(ARB)により、この系の発現が特異的にpreserveされることを見いだした(Iwanaga Y et al. JMCC2006)。心不全治療におけるARBの有用性をsupportする機序のひとつの可能性であると考えられた。 以上の結果より、Urocortin II-CRHR2システムに関しては、心不全動物に対してはむしろ拮抗薬投与にてその役割を検討することが望ましいと考えられる。Urocortin II-CRHR2 systemはin vitro心筋細胞で心肥大を惹起する、細胞内のcAMPを上昇させる等のデータからは、そのblockは心保護的に作用し、この心不全モデル動物において生命予後を延長させることが予測される。心不全ラットにCRHR2特異的拮抗薬であるanti-sauvagine-30の慢性投与によりUrocortin II-CRHR2システムのdisruptionが心形態および心機能に及ぼす慢性的効果を観察する予定である。またApelin-APJシステムに関しては、apelinの慢性投与検討を行う。in vivoでapelin-13を心肥大期よりosmotic pumpを用いて投与する(2μg/kg/day)。以上により、両系の修飾が新規心不全治療となる可能性を探るとともに、in vitroでの作用の検討も並行して行い、作用機序の解明を進めている。
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Research Products
(1 results)