2006 Fiscal Year Annual Research Report
心筋細胞における虚血耐性制御因子としてのコネキシン43の機能
Project/Area Number |
18590781
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三浦 哲嗣 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (90199951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 隆幸 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00336405)
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Keywords | シグナル伝達 / ギャップ結合 / 心筋細胞 / 虚血障害 |
Research Abstract |
心筋細胞の虚血耐性を増強する操作である虚血プレコンディショニング(PC)がギャップ結合透過性を抑制する機序とそれに関わる蛋白キナーゼについて、ラットの摘出灌流心標本からの心筋サンプルを用いて検討した。左室心筋の介在板分画を調整し、ギャップ結合蛋白であるコネキシン43(Cx43)と蛋白キナーゼとの蛋白蛋白結合を解析した。35分の虚血の経過で、Cx43はprotein kinase C (PKC)、p38MAP kinase-α (p38MAPK-α)、Src kinase (Src)との結合量が有意に増加した。一方、p38MAPK-βとCx43との蛋白蛋白結合は検出されなかった。PCは虚血におけるCx43とSrcとの結合に影響を与えなかったが、Cx43とPKCとの結合を増加させる一方、Cx43とp38MAPKとの結合をむしろ抑制した。PCによるCx43-PKC複合体形成にp38MAPK阻害薬(SB203580)は影響を与えなかったが、p38MAPK阻害薬単独でCx43-p38MAPK複合体形成が抑制された。またPCを行った心筋ではCx43-p38MAPK複合体におけるp38MAPK活性も低下していることが観察された。次に、PCによるギャップ結合透過性の抑制へのPKC-ε、p38MAPKの関与を検討するために、虚血時のギャップ結合透過性をLucifer yellowをtracerとして評価した。PCによるギャップ結合透過性の抑制はPKC-εの特異的阻害薬(PKC-ε-translocation inhbitory peptide)により阻害されたが、p38MAPK阻害薬には有意な影響を受けなかった。以上の結果より、心筋細胞保護に寄与するギャップ結合透過性の抑制はp38MAPK-αとは独立したPKC-εとCx43の結合によるCx43リン酸化によるものであると考えられた。PCによるp38MAPK-αの活性抑制ならびにCx43-p38MAPK-α複合体形成の抑制が心筋虚血耐性に及ぼす影響とその機序については次年度の検討課題とした。
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Research Products
(1 results)