2006 Fiscal Year Annual Research Report
電気的交代現象の成因としての心筋細胞内カルシウム動態異常とその不整脈源性の解明
Project/Area Number |
18590784
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 秀央 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (60236619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山田 正人 京都府立医科大学, 医学研究科, 准教授 (30183255)
|
Keywords | 心筋 / カルシウムイオン / 電気的交代現象 / 不整脈 / レーザー顕微鏡 |
Research Abstract |
致死性不整脈の発生に先立って発生する電気的交代現象の機序として、細胞内カルシウム(Ca)動態異常が重要であるとの仮説を立て、これを検証するために心筋細胞内のCa動態と同時に膜電位の変化の単一細胞レベルでの光学的記録を試み、以下の成果を得た。 1.2波長高速共焦点レーザ顕微鏡システムの確立 これまでCa動態の解析に用いていたin situ共焦点レーザ顕微鏡の高速走査化と、蛍光を2波長の成分に分離するシステムの設置により、ラット摘出灌流心における細胞内Ca(Fluo4)動態と細胞膜電位(RH237)の細胞レベルでの高速・同時記録システムを確立し、両シグナルの関係を検討した。Ca蛍光指示薬Fluo4/AMと膜電位感受性色素RR237で心臓を負荷した後、心外膜下組織を高速励起し各蛍光成分を2波長蛍光分岐モジュールにて分離した。健常心では、興奮に伴い個々の心筋で均一な活動電位を発生し、同時にCa濃度の一過性上昇(Ca トランジェント;CaT)を生じた。CaTは灌流液のCaを除去すると消失したが、活動電位は保持された。他方、テトロドトキシンにより心筋の興奮を抑制すると活動電位もCaTも消失した。 2.Ca動態の変化に伴う細胞膜活動電位変化の光学的記録低カリウム液とイソプロテレノールの灌流により、心筋は細胞内Ca過負荷に陥り、細胞内Ca濃度の自発性・周期性の伝播(Ca波)を示したが、膜電位には有意な変化を示さなかった。これに対しCa波が個々の細胞で同時多発すると膜電位にも振動性の脱分極が生じ、自発性の活動電位が生じた。また心臓を高頻度(>3Hz)で興奮させると、しばしば個々の心筋細胞は不均一なカルシウム動態を示し一拍毎にそのピークが交代性に増減したが、高頻度興奮のため活動電位の持続時間が短く、有意な不均一性は生じなかった。
|
Research Products
(6 results)