Research Abstract |
以前の研究で,α1受容体刺激がプロテインキナーゼC(PKC)およびカルモデュリン依存性キナーゼ(CaMKII)の活性化を介してL型Ca電流を増大させることを報告した.本年度はこれをさらに発展させ,α1受容体のサブタイプごとに検討した.α1Aサブタイプを刺激することにより,L型Ca電流が増大し,これがホスホリパーゼC阻害薬(U73122),PKC阻害薬(キレリスリン),CaMKII阻害薬(KN-93,AIP)で抑制されることを明らかにした.また,α1A受容体はGqと結合しており,α1Aサブタイプ刺激により,PKCがトランスロケーションすることを示した. 並行して,エンドセリン(ET-1)のL型Ca電流に対する効果を引き続き検討した.ET-1はL型Ca電流を増大させたが,これが,CaMKII阻害薬KN-93で抑制されることを明らかにした.また,KN製剤は膜電流に非特異的な作用をもつので,KN-93と構造式がほぼ同等で,CaMKII阻害作用をもたない,KN-92存在下でも検討したが,KN-92はET-1の作用を阻害しなかった.これより,ET-1によるCa電流の増大は,CaMKIIの活性化を介すると考えられた.また,エンドセリンの受容体サブタイプの検討もおこなった.EHの作用をETA受容体拮抗薬,あるいはETB受容体拮抗薬存在下で検討した.ETA受容体阻害薬(BQ-123)存在下でET-1の効果は消失したが,ETB受容体拮抗薬(BQ-788)存在下では消失しなかた.以上よりET-1はETA受容体刺激,CaMKII活性化を介してL型Ca電流を増大すると考えられた.
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