2007 Fiscal Year Annual Research Report
HLH転写因子Id1の血管形成促進機構とその再生治療への応用に関する研究
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18590803
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西山 功一 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 助教 (80398221)
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Keywords | 血管新生 / 血管内皮細胞 / 転写因子 / Id1 / 核-細胞質移行 / PKA |
Research Abstract |
H18年度の研究において、血管新生におけるId1の新規制御メカニズムの一つとして血管形態形成過程にけるId1の上流の調節機構を見出した。Id1は血管形態形成過程において核から細胞質にその局在を変化させ(核細胞質間移行)、これはcAMP-protein kinase A系にて制御を受けるCRM-1/exportinシステムが関与していることが解った。 本年度の研究においては、特に、Id1結合ターゲット分子、下流分子とその生理的意義に焦点を絞り検討し以下の新規知見を得た。 1)マウス大動脈片のタイプ1コラーゲン内3次元培養系による血管新生評価系にて、新生血管内皮細胞におけるId1の核内発現強度は均一でなく、その発現には周期性があった。 2)血管形成過程のこのような空間的周期性に制御を受けるシグナル分子としてNotch/Hey経路が示されていた為、Id1とNotchのクロストークを推定し検討を行った。siRNAによるId1ノックダウンにてHLH転写因子Hey2を含めたいくつかのNotch下流分子の顕著な発現上昇を培養血管内皮細胞にて認めた。 3)さらに、Id1ノックダウンによりその発現上昇を認めたNotch下流分子の一つにおいては、Hey2の発現上昇を介していることが解った。 これらの結果は血管新生の新規メカニズムとしてId1とNotchとのクロストークによる新規制御メカニズムの可能生を示唆するものである。また、Notch/Hey2経路は動脈内皮細胞への分化に重要であることが解っており、Id1がNotch/Hey2経路を制御することにより動静脈分化機構にも関与する可能生を示唆するものであり大変興味深い知見であると考えられる。 現在、血管新生過程におけるId1とNotchクロストークに関し、以下の点を中心に解析を進めている。 1)Id1によるNotch下流分子発現制御メカニズムの検討(Id1はその転写そのものに関与するのか等) 2)Id1とNotchクロストークにより血管新生現象をどのように制御しているのか? 3)Id1とNotchクロストークにより動静脈内皮細胞分化も制御されているのか?
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