2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリンコファクターIIの動脈硬化進展抑制に対するトランスレーショナルリサーチ
Project/Area Number |
18590816
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
粟飯原 賢一 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (70372711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 雅史 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90271080)
岩瀬 俊 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10403718)
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Keywords | ヘパリンコファクターII(HCII) / 欠損マウス / 胎生致死 / 血管リモデリング / 血栓形成 |
Research Abstract |
我々はヘパリンコファクターII(HCII)欠損マウスの作成を行なったが、胎生致死となり、ホモ欠損マウスを得ることが出来なかった。既報のHCIIホモ欠損マウス(He & Tollefsen et al.2002 J Clin Invest)は生存が報告されているため、Washington大学のDouglas M, Tollefsen教授よりHCIIヘテロ欠損マウスを譲り受け、当方のHCIIヘテロ欠損マウスとの交配実験を行なった。その結果、双方のmutant alleleを有するHCIIホモ欠損マウスは産出されたが、血漿HCII活性は10-20%程残存していた。このことから、HCII完全欠損では胎生致死の可能性が示唆され、HCIIは胎児成育に必須の分子であることが示唆された。 次に血管リモデリングにおけるHCIIの生理的役割の解明のため、当方で作成したHCIIヘテロ欠損マウスを用いて、大腿動脈カフ傷害モデルおよびワイヤー傷害モデルを作成した。4週後に大腿動脈を摘出し、病理組織学検討を行なった結果、HCIIヘテロ欠損マウスでは野生型マウスに比較して、有意に新生内膜肥厚を来たしており、ワイヤー傷害後の血栓形成による動脈閉塞も、HCIIヘテロ欠損マウスで有意に高率であった。HCIIヘテロ欠損マウスにおいて増強されたこれらの血管リモデリングや向血栓性は精製ヒトHCII蛋白の4週間腹腔内投与(25mg/kg)によって完全に抑制された。これらの成果は2006年11月に米国心臓学会学術集会(Chicago)において発表した。その他、冠動脈疾患患者の長期予後に関する血漿HCII活性の検討や、HCIIの肝細胞での合成を高める化合物のスクリーニングに関しても現在精力的に解析を進めている。
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Research Products
(2 results)