2006 Fiscal Year Annual Research Report
アドレノメデュリンと関連ペプチドの特徴的作用の解析と治療応用
Project/Area Number |
18590819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 丈司 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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Keywords | アドレノメデュリン / 血管線維化抑制 / 腹部大動脈瘤 / 肥満細胞 / 線維芽細胞 / 高血圧発症 / 降圧因子 / 治療応用 |
Research Abstract |
腹部大動脈瘤(AAA)の発症進展におけるAMの病態生理学的役割:手術時に得られたAAA組織におけるAMの発現を、免疫組織学的に検索した。また、細胞培養実験では、肥満細胞株とAAA組織より得られた線維芽細胞を用いて、線維化の指標として、コラゲナーゼ感受性プロリン取り込みを測定した。AAA組織の肥満細胞に高いレベルのAM免疫活性が観察され、AAAを認めない大動脈と比較すると、AAAでは肥満細胞の数が増加していた。細胞培養実験では、肥満細胞からのAMの産生と分泌が観察され、AAA由来の線維芽細胞との共培養下において、AMはコラゲナーゼ感受性プロリン取り込みを抑制した。すなわち、AAA組織中の肥満細胞がAMを産生し、産生されたAMがAAA組織の線維化を抑制する可能性が判明した。今後、AMがAAA拡大抑制的に機能しているか否かを、動物モデルを用いて明確にする必要がある。 高血圧の新規発症におけるAMの役割:地域住民における高血圧新規発症と降圧因子AMの血中濃度の関連を検討した。基本健康診査を受診した正常血圧の地域住民220名を対象に、血中AM濃度を測定して、3年間の追跡調査を行なった。追跡し得た177名を解析対象とし(追跡率80.5%)、収縮期血圧140mmHg以上または収縮期血圧90mmHg以上を認めた場合を高血圧発症とした。血中AM濃度の中央値により、高AM群と低AM群の2群に分けて解析したところ、3年間の追跡期間中、高AM群からの高血圧発症(27.8%)は、低AM群(11.5%)より有意に(P<0.01)高頻度であった。すなわち、高血圧発症に先行して血中AM濃度上昇が観察され、AMが血圧上昇に対して抑制的に機能しているという我々の仮説を支持しており、内因性のAMの機能を上昇させる手段が高血圧に対する治療応用につながる可能性を示唆している。
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Research Products
(5 results)