2008 Fiscal Year Annual Research Report
アドレノメデュリンと関連ペプチドの特徴的作用の解析と治療応用
Project/Area Number |
18590819
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
加藤 丈司 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 教授 (20274780)
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Keywords | アドレノメデュリン / カルシトニン受容体様受容体(CRLR) / 受容体活性調節蛋白(RAMP) / 降圧作用 / PAMP / 併用効果 / 急性心筋梗塞 / 梗塞後リモデリング |
Research Abstract |
AM受容体に関する検討:RAMP2とRAMP3は、CRLRを細胞膜に輸送しAM受容体を形成する。RAMPの細胞外領域のヒスチジン(His, H)と細胞内領域(C末)の役割について、Hisのアラニン(A)置換またはC末欠失変異体を用いて検討した。RAMP2のH124AとH127Aは、CRLRを細胞膜に輸送しなかった。RAMP3のH97AはCRLRを細胞膜に発現させたが、AMの結合性・反応性及びCRLRの細胞内移行を低下させた。一方、RAMP2のC末を欠失させると細胞膜発現が低下したが、RAMP3ではAM依存性の細胞内移行を促進させた。RAMP2とRAMP3の3のHis及びC末は、CRLRの機能や細胞内動態において異なった役割を果たしていると考えられた。 高血圧ラットにおけるAMとproadrenomedullin N-terminal20petide(PAMP)の併用効果:15週齢のSHRに、AMまたはPAMPを単独または併用にて4週間皮下投与し、血圧と心拍数を無麻酔無拘束下に持続的にモニターした。とPAMPの併用投与により、単独投与と比較して、より強力な降圧作用が観察された。すなわち、AMとPAMPは相互に降圧作用を増強することが判明し、同一の前駆体から産生される異なった2種類のペプチドが血圧の上昇に拮抗すべく、協調して機能している可能性が示唆された。 心筋梗塞ラットにおけるアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とAMの併用効果:ラット左冠動脈結紮により急性心筋梗塞モデルを作成して、急性期より、AMを腹腔内に1週間、ARBカンデサルタンを経口にて9週間、それぞれ投与した。ARB単独投与は、心筋リモデリングを抑制して、心機能の低下を抑制した。急性期におけるAM併用は、ARB単独投与に比較して、非梗塞左室心筋の線維化をより効果的に抑制して、血中ANP濃度は低下傾向を示し、左室収縮能と拡張能は改善傾向を示した。すなわち、急性心筋梗塞後リモデリング抑制を目的とした、AMの併用治療薬としての有用性が示唆された。
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