2007 Fiscal Year Annual Research Report
PPARリガンドの抗多核好中球活性を介した血管保護作用の検討
Project/Area Number |
18590825
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
松岡 秀洋 Kurume University, 医学部, 准教授 (80248393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 昌一 久留米大学, 医学部, 准教授 (40281026)
梅井 秀和 久留米大学, 医学部, 助教 (90360289)
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Keywords | 炎症 / 血管内皮 / 酸化ストレス / 好中球 / 動脈硬化 |
Research Abstract |
血管内皮細胞はNOをはじめとする多くの生理活性物質を産生し,血管のトーンを調節するばかりでなく血小板凝集粘着抑制,細胞接着分子発現抑制などを通じて血管保護作用を有する。最近の血管生物学の進歩により,血管傷害発症成立に単球などの炎症細胞の関与が必須であることが明ちかとなった。冠危険因子の集籏した病態であるmetabolic syndromeにおいては,血管床やその大小の如何に拘わらず,広範な血管内皮機能異常が存在する。この病態において酸化ストレスやサイトカインの関与が示唆されているものの,そのソースや血管傷害機序の詳細については来だ明らかでない。我々は,循環血中の炎症細胞の中で,最も組織傷害性の強い好中球に着目し,この活性化された炎症細胞が全身を循環することによりmetabolic syndromeにみられる汎血管機能異常が発症する点という可能性,即ち「血管内皮-炎症細胞の機能的連関」という全く新しいパラダイムを創出した。我々は高脂血症患者において多核好中球活性が亢進しており,in vivo,ex vivoの何れの系においても酸化ストレスを介して血管内皮機能低下をもたらすことを発見し,健常集団における横断的検討においても活性化好中球由来のmyeloperoxidase(MPO)がmetabolic syndromeにおいて上昇し,他の冠危険因子とは独立した血管内皮障害の規定因子となっていることを認めた。即ち多核好中球活性の亢進が血管内皮障害を通じてmetabolic syndromeにおける心血管病発症に重要な役割を果たすことが明らかとなった。更に,metabolic syndromeにおけるPPAR-γを介した血管傷害機序に関連する内因性NO合成阻害物質ADMA上昇の腎性メカニズムを検討し,これがヒトにおいても無症候性動脈硬化と密接に関連することを発見した。これらの知見を元に,metabolic syndromeに対する包括的治療戦略の重要なツールとして,この症候群のプライマリーターゲットである血管内皮機能をヒトにおいて簡便に評価する方法を確立し,これを血管病のサロゲートマーカーとして臨床応用する全国レベルの多施設共同プロジェクトを立ち上げている。今後の成果が大いに期待される。
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Research Products
(21 results)