2006 Fiscal Year Annual Research Report
BMP-3bの心・血管系における生理作用および病態生理学的意義の解明
Project/Area Number |
18590830
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
日野 純 国立循環器病センター(研究所), 生化学部, 室長 (40260351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 賢治 国立循環器病センター(研究所), 副所長 (00112417)
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Keywords | BMP-3b / BMP / TGF-b / 動脈硬化 / 血管平滑筋細胞 / 分子型 |
Research Abstract |
血管系におけるBMP-3bの機能解析のため、ヒト培養血管平滑筋細胞における発現調節及び生理活性を検討した。本因子は、骨芽細胞において分化状態と相関して発現が亢進していたことより、血管平滑筋細胞において同様の検討を行った。本細胞は、長期培養で分化が進行する培養骨芽細胞と異なり、すでに高度な分化状態で調製されているので、同条伴では一定の発現レベルを維持していた。しかし、細胞の調製方法(酵素法とexplant法)により違いが観察されたことから、骨芽細胞と同様に分化状態との関速性が示唆された。そこで、後述する動脈硬化モデルである石灰化条件を含むいくつかの分化因子による分化状態との関連を検討中である。また、生理活性の検討では、アデノウィルスを用いた強制発現系を用いて、本因子が増殖促進抑制作用を示すことが判った。本細胞における、同族のBMP-2やTGF-b等における活性は、刺激時間や細胞同調時間などの実験条伴で活性が変化することが報告されていることから、異なった条件での活性を精査中である。更に、病態生理学的意義の解明のため、動脈硬化血管に見られる石灰化のモデル実験として、本細胞培養において培地中のリン酸濃度を増加する系における検討を行った。予備実験段階では、遺伝子発現レベルでの大きな変化はなかったが、石灰化レベルのコントロールが不十分であることなど系の確立が不十分な点もあるため、それらの条件を確立中である。 他方、タンパク質レベルでの解析においては、本因子に対する良好な抗体が無く、いまだに生体内におけるタンパク質レベルでの存在や分子型が不明のままであった。そこで、新たな部位での抗体を試みた。その結果、本因子のプロ体部分を特異的に認識する抗体の作成に成功し、それを用いた抗体アフィニティーゲルも調製することができた。それにより、過剰発現系の培養上清における検討の結果、他のBMPファミリーでは知られていないユニークな存在様式であることが判った。現在、生体内組織においての同様の検討を開始し、生合成経路を明らにする予定である。
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