2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変モデル動物を用いた肺気腫の病態形成と喫煙感受性の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
18590837
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
須賀 達夫 Gunma University, 医学部, 助教 (50334115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉林 正彦 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00215047)
磯部 全 群馬大学, 医学部, 医員 (10384041)
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Keywords | 遺伝子改変モデル動物 / 肺気腫 / 喫煙感受性 / Notch シグナル / HERP |
Research Abstract |
Klotho遺伝子欠損マウスが喫煙曝露などの肺傷害により気腫化を生じるメカニズムは明らかではないが,正常肺構造の維持システムの異常が原因の一つと考えられる. これを踏まえ,細胞の分化・増殖に関与するNotchシグナル系に着目した.これまでの研究から,Notchシグナルは単に細胞の分化・増殖の調節に関与するだけでなく,上皮-間葉転換に大きな役割を果たしていることが明らかとなった.間葉系細胞にNotchを過剰発現することにより平滑筋α・アクチンの発現レベルが著明に増加することを見出し,Notchシグナルの標的分子であるbHLH型の転写因子HERP1とHERP2が平滑筋細胞の分化を抑制することを明らかにした.本研究では,肺の発生や病態におけるNotchシグナルの役割を検討した.肺におけるHERP1とHERP2の発現は,HERP1がわずかであるのに対してHERP2は高かった.ラット肺を用いた免疫組織染色では,HERP2の発現は毛細血管と肺胞上皮細胞に特異的にみられ,胎生後期から出生後1週ほどの間に急激に増加した.ラットのBleomycin(BLM)肺臓炎モデルを用いた検討では,HERP2の発現はBLM投与1日後より低下し始め,7日目・14日目には明らかに低レベルになった.一方,筋線維芽細胞のマーカーであるSM22αの発現が7〜14日後に著明に増加した. 以上より,HERP2・SM22αの発現増加は毛細血管・肺胞細胞傷害,線維芽細胞増殖を反映していると考えられ,HERP2は毛細血管や肺胞細胞の構造維持に機能している可能性がある.
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