2007 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモダリティー治療における新しい癌治療標的分子の探索と検証
Project/Area Number |
18590838
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
瀧口 裕一 Chiba University, 医学部附属病院, 講師 (30272321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒須 克志 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (20291106)
笠原 靖紀 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (60343092)
関 直彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (50345013)
廣島 健三 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (80218833)
栗山 嵩之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20009723)
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Keywords | シスプラチン / 遺伝子発現 / cDNA microarray / siRNA / 放射線治療 / マルチモダリティー治療 / 細胞周期 |
Research Abstract |
化学療法と放射線治療を組み合わせた揚合の相互干渉(相乗・相加・相殺効果など)の機序には,抗がん剤あるいは放射線曝露による細胞の遺伝子発現変化が関与している可能性が高い。そこでヒト肺扁平上皮癌細胞株(RERF-LC-AI,以下LCA)をシスプラチンに少量長期曝露し,これによる遺伝子発現の変化を明らかにし,発現変化した遺伝子の,マルチモダリティー治療効果における役割を調べた。LCAをシスプラチン(0.6μg/ml)で4日間処理し,cDNA microarrayにより遺伝子発現の変化を調べた。シスプラチンにより細胞周期が偏向するため,薬剤処理をする細胞,無処理の細胞ともコルセミドを用いて細胞周期の調整を行った。発現変化の最も強い上位5遺伝子についてはReal-time-PCR法を用いて発現の経時的変化を測定し,siRNAによる遺伝子発現抑制と細胞生存率,apoptosis誘導能との関係を調べた。発現変化を来した遺伝子は,2倍以上の上昇が38遺伝子,1/2倍以下の低下が4遺伝子だった。多くは,apoptosis,cell cycle,DNA代謝及びDNArepairに関するものだった。変化の大きい上位5遺伝子の発現亢進はRT-PCRによっても確認され,siRNAによって発現を抑制することにより,シスプラチンによるapoptosis誘導能の低下が認められたにもかかわらず,細胞生存率への影響は認められなかった。 以上よりLCA細胞における,シスプラチン少量長期投与による遺伝子発現の変化と,発現充進する上位5位までの遺伝子発現抑制による細胞表現形変化を明らかにした。シスプラチンなどの化学療法剤による遺伝子発現の変化は細飽死そのものに影響を与えない場合でも,マルチモダリティー治療においては,他の抗腫瘍薬や放射線との併用において,重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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