2007 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素性肺高血圧におけるRho蛋白の役割の分子生物学的研究
Project/Area Number |
18590842
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
石崎 武志 University of Fukui, 医学部, 教授 (80151364)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 史朗 福井大学, 医学部, 助教 (80397281)
|
Keywords | ヒト肺動脈平滑筋細胞 / 低酸素 / セルマックスシステム / シェアストレス / Rhoキナーゼ |
Research Abstract |
培養ヒト肺動脈平滑筋細胞(HPASMC)をRhoキナーゼの選択的阻害剤であるY-27632の存在下で、21%02(normoxia)と2%低酸素(hypoxia)条件で培養した。その際、さまざまなシェアストレス環境を作成できる細小人工血管培養システム(CellMaxシステム)によるシェアストレスを加え、Rhoキナーゼの関与とそれによるHPASMC増殖、細胞周期への影響、p27(CDK inhibitor)の発現を検討し、低酸素とシェアストレス時のRho-キナーゼの役割を検証した。 結果 1.シェアストレスによって、HPASMCのBrdUの取り込みは有意に増加し、2%02の低酸素負荷を加えるとさらにBrdUの取り込みは増加した。Y-27632の投与によりシェアストレス単独時とシェアストレス+低酸素時のBrdUの取り込みは同程度、有意に抑制された。 2.シェアストレス単独でp27のmRNA発現は抑制されたが、シェアストレス+2%低酸素時はシェアストレス単独時と同程度の抑制効果であった。Y-27632の存在下でシェアストレス単独とシェアストレス+2%低酸素時のp27のmRNA発現は抑制程度は有意に減弱した。 2%低酸素とシェアストレスは相乗的にHPASMCの増殖をうながすが、その際、Rhoキナーゼが活性化して、CDK inhibitorのp27の発現を抑制してその効果を発揮していると推定された。慢性閉塞性肺疾患の重要な予後規定因子である肺高血圧症におけるRhoキナーゼの役割の解明は、治療法の新たな戦略に示唆を与える。
|