2006 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌検診における新規腫瘍マーカー・分子マーカーの有用性研究
Project/Area Number |
18590849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
清水 英治 鳥取大学, 医学部, 教授 (50187449)
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Keywords | 肺癌検診 / 血清 / 腫瘍マーカー / ProGRP / ULBP-2 / p53自己抗体 / コチニン |
Research Abstract |
簡便で侵襲の少ない肺癌の早期発見方法としては血清診断が望ましいが、従来の肺癌腫瘍マーカーではその感度、特異度の低さから検診受診者を対象として有用性が証明されたものは見つかっていない。そこでいまだ検診における有用性が検討されたことのない腫瘍マーカーと、我々が独自に見いだした血清中肺癌マーカーを肺癌検診受診者の高危険群において同意を得たうえで測定し、その早期発見における有用性を検討することを目的とした本研究を計画した。 本研究では小細胞癌マーカーとしてProGRP、非小細胞癌マーカーとして癌細胞表面蛋白質であるULBP2、肺癌マーカーとして癌抑制遺伝子(p53, Rb, p16)、癌遺伝子(L-myc, c-myc)に対する自己抗体をウエスタンブロット法、ELISA法により測定する。測定対象者は鳥取県の肺癌検診受診者65000人の中で高危険群8500人で、血清は一般検診で採取したものの一部を同意を得て使用する。測定後、経年的に受診者の罹患状況を鳥取県癌登録事業にて調査し、これらマーカーの有用性を検討する。 平成18年度研究では(1)血清中ULBP-2のsandwich ELISA法による検出系を構築した。本方法によれば血清中2ng/mlまでのULBP-2を検出可能であった。(2)次に検診受診者血清のうち267検体のProGRP測定と、内250検体についてp53抗体価を測定した。またこれら測定値に与える喫煙の影響をみる目的でニコチン代謝産物であるコチニン濃度を221検体で測定した。その結果、抗p53抗体価とProGRP値の間には相関は認めず、これらは全く独立した指標であることが明らかであった。さらに抗p53抗体価とコチニン濃度(喫煙状況)との間にも相関は認めなかった。従って非喫煙者においても抗p53抗体を測定する意義は大きいと考えられた。(3)本年度は対象者からの肺癌発生の報告は認めなかった。 今後(1)で確立したULBP-2測定系を追加して、引き続き検診受診者血清の測定と、肺癌発症状況の監視をしていく予定である。
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