2008 Fiscal Year Annual Research Report
血清遊離メチル化DNAを用いた塵肺合併肺癌の早期発見
Project/Area Number |
18590852
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田端 雅弘 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 准教授 (30243504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木浦 勝行 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (10243502)
谷本 安 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60284098)
瀧川 奈義夫 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60325107)
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Keywords | 肺癌 / 塵肺 / 早期診断 / 血清遊離DNA / メチル化DNA |
Research Abstract |
塵肺に高率に肺癌が合併することは既に多く報告されているが、肺野に多彩な画像所見を有する塵肺患者においてたに出現した肺癌を検出することは現代の画像診断技術を用いても比較的困難な場合がある。肺癌細胞では癌化の早期よりMGMT, p161NK4A, RASSF1A, DAPK, RAR-βなどの遺伝子のプロモーター部位にメチル化が生じることが知られており、これらがごく早期から末梢血中に遊離DNAとして検出できることを利用し血清メチル化DNAによる肺癌診断感度の上昇が期待される。本研究では当施設および関連施設において塵肺患者と塵肺肺癌患者の血清中遊離メチル化DNAの出現率を前向きに比較検討することにより、塵肺肺癌の診断への応用可能性を明らかにすべく本研究を開始した。平成18年度は主として塵肺、および塵肺肺癌(目標症例各70例)の症例集積を行い、現時点までに塵肺症例69例、塵肺肺癌症例9例を集積し、これらの血清中遊離DNAのメチル化について解析を行っている。塵肺症例および塵肺肺癌症例の年齢中央値は71歳vs72歳、珪粉暴露期間は35年vs33年であり、肺癌を有しない塵肺症例69例中19例(27.5%)に前述の5遺伝子の少なくともいずれか一つにメチル化を認めたのに対し、塵肺肺癌症例では9例中7例(77.8%)に少なくともいずれかひとつの遺伝子のメチル化を認めた(p=0.0003)。肺癌合併塵肺では有為にメチル化の頻度が高く、診断的価値があるものと考えられた。最終的に平成20年度までに集積された症例のうち正常コントロール20例、肺癌を合併してない塵肺症例67例、塵肺肺癌症例11例の症例について解析および評価が可能であった。塵肺肺癌症例においては他の症例に比較して検討を行った5遺伝子のうち少なくともいずれか一つにメチル化が生じている頻度が有意に高い(p=0.0006)ことが確認できた。さらに、塵肺患者のうち5遺伝子のうち少なくともいずれか一つにメチル化が認められた場合肺がんを合併しているリスク比は9.77(p=0.009)と高率であった。また、塵肺患者においては塵肺暴露歴が長いほど血清中遊離DNAのメチル化の頻度が高い傾向が認められ、特に30年以上の暴露歴のあるものにおいて5遺伝子のうち少なくともいずれか一つにメチル化が認められる頻度が有意に(p=0.017)高いものであった。以上より、塵肺患者の血清中に遊離するDNAのメチル化の検出が肺癌合併の補助診断として使用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)