2006 Fiscal Year Annual Research Report
線毛上皮への分化誘導による気道杯細胞増生の治療法の開発
Project/Area Number |
18590867
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
近藤 光子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (50178430)
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Keywords | 杯細胞 / 線毛細胞 / インターロイキン13 / ムチン / 細胞転換 |
Research Abstract |
目的:慢性喘息では気道のリモデリングが生じ、気道上皮においては著明な杯細胞増生が観察される。その結果、引き起こされる過分泌は閉塞性換気障害や喘息死をもたらすが、現在まで有効な治療方法は確立していない。本研究では、杯細胞増生は気道上皮の分化異常と考え、杯細胞増生を正常な線毛上皮に分化誘導する新しい治療法の確立を目指すことを目的とした。18年度はIL-13による高分化杯細胞培養系を作成後、培地よりIL-13を除去して杯細胞から線毛細胞への細胞転換(Transition)が生ずるか検討した。 方法:モルモット気管上皮をプロテアーゼ処理にて単離し、Transwell上に細胞をまき、DMEM/HamF12培地で培養した。コンフルエンスの後、Air-interface法とし、IL-13を添加し杯細胞系を作成した。10日後、IL-13を除去した培地への切り替え、またはIL-13の中和抗体を加えて、継続培養した。経時的に細胞の光顕標本、電顕標本を作製し、杯細胞、線毛細胞などの各細胞数、線毛と粘液顆粒を有するTransition phenotypeの細胞を算定した。また粘液の面積を画像解析ソフトで求めた。粘液量の定量評価は抗MUC5AC抗体を用いたELISAで測定した。さらに細胞増殖はBrdUの取り込みで解析した。 結果:IL-13除去2日後、PAS陽性領域およびMUC5ACのレベルは急速に減少し、除去4日後には杯細胞の数は著明に減少した。一方、線毛細胞は相補的に増加した。また、線毛と粘液顆粒の両方を有するTransition phenotypeがIL-13除去後に多く出現した。経過中、総細胞数は変化せず、またBrdUの取り込みはIL-13除去後には減少していた。IL-13中和抗体の添加1後も同様に杯細胞の減少と線毛細胞の増加を認めた。 本年度までの結論:IL-13の除去により杯細胞増生は線毛上皮へと置き換わった。この変化には細胞増殖による未分化な細胞からの線毛細胞への分化よりも杯細胞から線毛細胞へのTransitionが関係している可能性が示された。
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