2009 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹/前駆細胞の肺障害における役割並びに治療応用への基礎的検討
Project/Area Number |
18590870
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
阿部 信二 Nippon Medical School, 医学部, 講師 (20386163)
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Keywords | 再生医学 / 肺障害 |
Research Abstract |
平成18年度は動物実験モデルの作製を行い、平成19年度は実際に肺障害に対する造血幹細胞の効果を検討した。マウスにおいては脾臓の摘出を行うことで、顆粒球コロニー刺激因子G-CSF(granurocyte colony stimulating factor)による骨髄幹細胞の動員が増強することが知れているため、C57/B1マウスから脾臓摘出術を行い、手術の影響がないかを検討した。肺障害としてブレオマイシンの経静脈投与による肺臓炎モデルを用いた。摘脾マウスにおいてもブレオマイシンにより肺臓炎が誘導され、気管支肺胞洗浄や肺組織所見などからはコントロールマウスと同様の障害が認められた。ブレオマイシン投与後、day0からG-CSFとエリスロポエチンを5日間連日で皮下注射を行って骨髄幹細胞の動員を誘導した。day21または28に気管支肺胞洗浄、肺組織の摘出を行った。気管支肺胞洗浄液の解析ではコントロールマウス、摘脾マウスと比較して好中球細胞比率の有意な減少を認めたが、肺組織の顕微鏡所見からは有意な改善は認められなかった。平成20、21年度はブレオマイシンの経気管投与による急性肺障害モデルに対する骨髄幹細胞誘導を試みたが、肺組織の改善や肺細胞の再生は認められなかった。そこでヒトの重症肺障害であるびまん性肺胞障害(diffuse alveolar damage ; DAD)に対して使用された血液浄化カラムの解析を行った。吸着細胞の表面マーカーをフローサイトメトリーで検討したところ、活性化好中球の吸着を認めた。以上から、活性化好中球が急性肺障害の治療のターゲットと考えられたが、G-CSFによる骨髄細胞の動員が炎症の悪化を惹起してしまう可能性も考えられた。
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