2006 Fiscal Year Annual Research Report
各種間質性肺炎における血管、リンパ管の新生とその機序
Project/Area Number |
18590871
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
福田 悠 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (60097037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 正通 日本医科大学, 医学部, 助教授 (40096954)
中山 智子 日本医科大学, 医学部, 助手 (50350038)
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Keywords | 通常型間質性肺炎 / 非特異性間質性肺炎 / びまん性肺胞傷害 / 血管新生 / リンパ管新生 / 肺胞腔内線維化 / CD34 / D2-40 |
Research Abstract |
目的:特発性間質性肺炎は原因不明の間質性肺炎(IP)であり、病理形態学的な診断が、臨床的な治療の適応および予後を決めるのに重要であるとされている。これまでに我々はIPで増生する上皮細胞、筋線維芽細胞・沈着する細胞外基質などの相違点を報告してきた。当研究では、線維化の吸収の観点から、IPの線維化巣における血管、リンパ管新生を検討した。症例と方法:生検の非特異性間質性肺炎(NSIP)23例、通常型間質性肺炎(UIP)17例、剖検のびまん性肺胞傷害(DAD)13例で、基底膜にあるIV型コラーゲン、血管内皮細胞のマーカーであるCD34、リンパ管内皮細胞のマーカーであるD2-40を指標として、疾患ごとに、それぞれの脈管の数を1cm^2ごとに計測し、定量化した。特に血管については、早期肺胞腔内線維化の型ごとの検討も行った。結果:NSIPでは、UIPおよびDADの早期の腔内線維化巣に比し、血管の新生が優位に多く認められた。腔内線維化の型では、血管新生は閉塞型には少なく、ポリープ型により多い傾向であった。リンパ管新生については、NSIPおよびDADの線維化部で、UIPに比して有意に多かったが、NSIPとDAD間で差は認めなかった。特に疎な閉塞型の線維化部でのリンパ管新生が目立って認められ、NSIPではリンパ管内にリンパ球集籏も確認された。考察:NSIPに比し予後不良なUIPでは新生血管は少なく、急性経過をとる予後不良なDADにおいても、UIP以上に血管新生が乏しいという結果であった。結論:疾患予後とあわせて考慮すると、血管新生は線維化の吸収に深く関与することが示唆された。リンパ管新生は、NSIPやDADで、比較的時間の経った疎な線維化部に多く認められ、慢性炎症局所での浮腫液とリンパ球の排出に加え、リンパ管の線維化吸収過程への関与が示唆された。
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