2007 Fiscal Year Annual Research Report
各種間質性肺炎における血管、リンパ管の新生とその機序
Project/Area Number |
18590871
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
福田 悠 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (60097037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 正通 日本医科大学, 医学部, 准教授 (40096954)
川本 雅司 日本医科大学, 医学部, 准教授 (00224866)
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Keywords | 通常型間質性肺炎 / 非特異性間質性肺炎 / びまん性肺胞傷害 / 血管新生 / VEGF-A / VEGF-R2 / 免疫組織化学 / real time PCR |
Research Abstract |
目的:特発性間質性肺炎は原因不明の間質性肺炎(IP)であり、病理形態学的なパターンの違いにより、臨床的な治療の適応および予後が異なることが知られている。本年は、線維化吸収の観点から、IPの早期線維化巣における血管新生とその機序を検討した。症例と方法:本年度はさらに症例を増やし、生検の非特異性間質性肺炎(NSIP)24例、通常型間質性肺炎(UIP)18例、剖検のびまん性肺胞傷害(DAD)16例で検索した。本年は、血管内皮細胞の増殖因子であるVEGF-AとそのレセプターVEGF-R2について免疫組織化学的陽性細胞の同定とreal time PCRによる定量的検討を行った。結果:NSIPでは、UIPおよびDADの早期の腔内線維化巣に比し血管の新生が優位に多く認められた。VEGF-Aは線維化巣を被覆する肺胞上皮細胞に陽性で、VEGF-R2は血管内皮細胞と肺胞上皮細胞に陽性所見を認めた。real time PCRによるVEGF-Aの定量的検討では、NSIPで、UIP,DADに比して2倍ほどみられ、有意差をもって多く認められた。VEGF-R2の定量的検討では、NSIPで、UIP,DADに比べ多い傾向をしめしたが、有意差は確認出来なかった。考察と結論:NSIPの早期線維化巣に比し、予後不良なDAD、UIPの早期線維化巣で血管新生が乏しいことが、明らかとなった。血管新生にはVEGF-A,VEGF-R2の関与があることが示唆される。VEGF-Aは、またMMP-2などのプロテアーゼの産生を促すことが知られており、MMP-2による血管新生の関与も示唆される。早期線維化巣の血管新生は、産生した細胞外基質の排除に関与していると考えられるが、血管新生が乏しいことは、UIP,DADの予後不良に関与している可能性がある。
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Research Products
(1 results)