2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590882
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸茂 丈史 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (70265817)
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Keywords | 腎臓再生 / 内皮前駆細胞 / アルドステロン / 酸化的ストレス / 抗酸化薬 |
Research Abstract |
これまでの研究により、急性腎炎に対して内皮前駆細胞を用いた細胞療法が有効であることを見出し報告した(J Am Soc Nephrol 16, 997-1004, 2005)。しかし、血管新生細胞療法の対象となる心血管病患者では流血中の血管内皮前駆細胞数が減少しその機能が低下しているため、血管新生療法に抵抗性を示すことが最近明らかになった。心血管病に関連の深いアルドステロンは直接血管障害を生じることが報告されている。本年度の研究では、アルドステロンが骨髄由来血管新生細胞の生成不全を来たすかどうか検討した。 ラット骨髄単核細胞を内皮分化環境で培養して得られる、血管新生細胞の生成に対するアルドステロンの影響を調べた。アルドステロンは濃度依存性に血管新生細胞生成を抑制した。アルドステロンは血管新生細胞のVEGF産生、HGF mRNA発現は変化させず、VEGF receptor-2 mRNAを減少させ、VEGFシグナル下流で内皮前駆細胞生成に重要な役割を持つAktリン酸化を低下させた。アルドステロンによる抑制作用は鉱質コルチコイド受容体拮抗薬スピロノラクトンで減弱された。アルドステロンは血管新生細胞での酸化的ストレスを上昇させ、抗酸化薬アセチルシステインはアルドステロンによる抑制を回復させた。 これらの結果から、アルドステロンは骨髄由来血管新生細胞の生成を、酸化的ストレスを介したVEGF受容体減少作用により抑制することが明らかになった。本研究の内容は、Hypertension誌48, 490-6, 2006に掲載された。ひきつづいて、当初の計画に沿って慢性腎炎モデルに対する内皮前駆細胞の細胞治療の効果を調べるとともに、内皮前駆細胞動員をはじめとした腎臓修復機転を、抗アルドステロン薬などの薬物が活性化するかどうかについて検討を加えている。
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Research Products
(2 results)