2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590884
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸山 弘樹 新潟大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任教授 (10293218)
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Keywords | ファブリー病 / シャペロン / DGJ / 腎不全 / α-ガラクトシダーゼA |
Research Abstract |
COS-7細胞を用いたin vitroの系を用いて、ファブリー病に対するα-ガラクトシダーゼA(α-Gal A)の阻害剤である1-deoxygalactonojirimycin(DGJ)の化学シャペロン治療の有用性を検討した。 (1)変異α-Gal Aの発現実験 COS-7細胞内のα-Gal A活性値は、COS-7細胞へのpKSCX-変異α-Gal Aの遺伝子導入効率の良し悪しに依存する。そこで、導入効率を判断する指標としてpKSCX-luciferaseをco-transfectionする。LipofectAMINE2000(Invitrogen)を用いてpKSCX-変異α-Gal A 4μgとpKSCX-luciferase 4μgをCOS-7細胞にco-transfectionし、24時間後にCOS-7細胞を採取し、α-Gal A活性とluciferase濃度を測定した。発現の程度をα-Gal A活性とluciferase濃度の比で評価した。コントロールとしてpKSCX-α-Gal A 4μgとpKSCX-luciferase 4μgをCOS-7細胞にco-transfectionて得られたα-Gal A活性/luciferase濃度と比較して、変異α-Gal Aが酵素活性の低下の原因であることを検討した。 (2)DGJによるシャペロン治療効果と変異α-Gal Aとの関係の検討 DGJ(10μM)の添加群と非添加群を設定して、(1)と同様に発現実験を行った。添加群が非添加群に比べて、DGJのシャペロン効果であるCOS-7細胞内のα-Gal A活性/luciferase濃度比の増加について検討した。 以下の結果が得られた。 ・ナンセンス変異ではシャペロン効果は認められなかった。 ・α-Gal Aの活性部位のミスセンス変異では、シャペロン効果が認められなかった。 ・α-Gal Aの非活性部位のミスセンス変異では、DGJを添加しないときと比べて酵素活性の有意な増加が認められるものがあった。 正常範囲まで、酵素活性が増加するものが存在した。これは、予想と異なり、α-Gal A遺伝子の下流にある変異の方が上流にある変異に比べて、シャペロン効果がより強く出やすいという結果は認められなかった。上流にある変異でも強いシャペロン効果を示すものが認められた。現時点で、これまでの遺伝子解析からエクソン1から7までのすべてのエクソンに分布する25個の変異について検討した。引き続き遺伝子解析を進めて、検討する変異の数をさらに増やして、DGJによるシャペロン治療効果と変異α-Gal Aとの関係を明らかにする。特に、α-Gal Aの非活性部位のミスセンス変異に対するDGJのシャペロン効果の違いに関わる機序は不明であり、解明する必要がある。これにより、シャペロン治療の適応を考える上で、有用な知見が得られるものと期待される。
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