2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590884
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
丸山 弘樹 Niigata University, 大学院・医歯学総合研究科, 特任教授 (10293218)
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Keywords | ファブリー病 / シャペロン / DGJ / 腎不全 / α-ガラクトシダーゼA |
Research Abstract |
具体的内容:今回の研究では、日本全国からファブリー病を疑われた56家系113患者についてα-ガラクトシダーゼAの遺伝子を解析し、34家系72名に26の異なる遺伝子変異を認めた。各変異が病因であることを確認するために、各変異α-ガラクトシダーゼAのcDNAをRT-PCRあるいはPCRで構築し、cDNA発現プラスミドに接続し、COS7細胞に導入し、変異遺伝子の機能と1-deoxygalactonojirimycin (DGJ)の活性部位特異的シャペロン治療の有用性を検討した。ミスセンス変異19、ナンセンス変異3、欠損2、挿入1、二重のミスセンス変異1)を確認した。26変異のうち、11変異は新規であった。11個のミスセンス変異α-ガラクトシダーゼA遺伝子と正常α-ガラクトシダーゼA遺伝子でDGJによるシャペロン効果を認めた。シャペロン効果は、変異α-ガラクトシダーゼA遺伝子ごとに差異が認められた(正常α-ガラクトシダーゼA遺伝子の酵素活性の5.9〜150%まで増加し、8変異で10%を超えた)。ナンセンス変異α-ガラクトシダーゼAでは、DGJによるシャペロン効果が認められなかった。 意義:今回の日本のファブリー病患者の変異α-ガラクトシダーゼA遺伝子の実態の把握、それらに対するDGJによるシャペロン効果の差異に関する基礎的検討結果は、現在、アメリカで治験が進められている経口DGJ薬の日本への早期導入を促進する重要な資料として役立つと考えられる。今後、DGJによる活性部位特異的シャペロン治療は、酵素補充療法、遺伝子治療とともに、ファブリー病の治療戦略として、相互補完するものと期待される。 重要性:DGJによるシャペロン治療は、各臓器で発現している変異α-ガラクトシダーゼAおよび女性患者(ヘテロ接合体)では正常α-ガラクトシダーゼA遺伝子由来の不良品蛋白を有効活用しようという戦略であり、酵素補充療法が抱える医療経済と酵素の標的臓器へのチリバリーの課題を解決する可能性を秘めている。経口薬であり、点滴静注である酵素補充療法に比べて、小児患者へ投与しやすいことも大きな利点である。
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Research Products
(18 results)