2006 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白尿発症の分子機構の解析ー蛋白尿抑制治療法の開発ー
Project/Area Number |
18590886
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (60242400)
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Keywords | 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / SV2B / CD2AP |
Research Abstract |
従来、蛋白尿は、糸球体基底膜の障害により発症すると考えられていたが、近年の研究成果から、多くの病態における蛋白尿は、糸球体上皮細胞足突起間に存在するスリット膜の障害により発症することが明らかたなってきた。スリット構成分子としてネフリン、ポドシンなどいくつかの分子が同定されているがスリット膜の分子構造の詳細、スリット膜形成機序は明らかになっていない。本研究課題の目的は、糸球体上皮細胞(スリット膜)の新たな機能分子を同定すること、スリット膜の形成機序の解析を行うことである。初年度の平成18年度は、新たなスリット膜関連分子の同定を企図して以下の実験を行った。正常、並びにスリット膜傷害による蛋白尿を呈するモデル動物から糸球体mRNAを調整し、cDNAサブトラクションアッセイ法で、蛋白尿発症時、並びに蛋白尿発症モデルを誘導後早期(蛋白尿発症前)に、そのmRNA発現が低下している分子を同定する作業を行った。これらの分子はその発現低下がスリット膜の機能低下、蛋白尿発症に関与している可能性があると考えられる分子である。この検討でいくつかの酵素、細胞輸送に関する分子などが同定された。その中の1つsynaptic vesicle protein 2-B(SV2B)について詳細な解析を行なった。siRNA技術を用いSV2Bをノックダウンした細胞ではスリット膜の機能分子の1つであるCD2APの正常局在が阻害されることを確認した。この結果は、SV2Bはスリット膜の構造形成、維持に関与していることを示す所見である。一連の研究結果は、米国腎臓学会誌(JASN 17:2748-59,2006)に報告した。SV2Bは治療のターゲットとして有望な分子の1つであると考えられる。
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Research Products
(15 results)