2007 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白尿発症の分子機構の解析-蛋白尿抑制治療法の開発-
Project/Area Number |
18590886
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
河内 裕 Niigata University, 医歯学系, 准教授 (60242400)
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Keywords | 蛋白尿 / 糸球体上皮細胞 / スリット膜 / SV2B / ephrin B1 |
Research Abstract |
従来、蛋白尿は、糸球体基底膜の障害により発症すると考えられていたが、近年の研究成果から、多くの病態における蛋白尿は、糸球体上皮細胞足突起間に存在するスリット膜の障害により発症することが明らかになってきた。本研究課題の目的は、糸球体上皮細胞(スリット膜)の新たな機能分子を同定すること、スリット膜の形成機序の解析を行うことである。初年度の平成18年度は新たなスリット膜関連分子の同定を企図した研究を行いsynaptic vesicle protein 2-B(SV2B)と呼ばれる分子がスリット膜の機能低下、蛋白尿発症に関与していることを明らかにした。平成19年度は、SV2B並びにその関連分子群の糸球体における発現、病的状態における動態、機能、治療のターゲットとしての有用性についての検討を進めた。SV2B並びにSV2Bと細胞膜分子とのドッキングに関与している膜分子の動態が、ネフローゼ症候群の予後判定の指標になることを明らかにした。siRNA技術を用いた解析で、これらの分子がスリット膜機能維持に重要な役割を果たしていること、これらの分子が新規治療法の開発のためのターゲット分子として有望であることを示した。また、初年度に引き続き、平成19年度も新たな機能分子を同定する作業を続けた。Eph-ephrin系の分子の一つであるephrin-B1という分子がスリット膜近傍に発現しており、スリット膜の機能維持に極めて重要な役割を果たしていることを明らかにした。一連の研究結果は、国際腎臓学会誌(Kidney Int 17:2748-59,2006)に報告した。
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Research Products
(17 results)