2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規鉄結合蛋白Ngalの腎疾患における発現調節及びその病態生理的意義の解明
Project/Area Number |
18590888
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 潔 京都大学, 医学研究科, 講師 (60343232)
|
Keywords | 腎臓学 / 急性腎不全 / 慢性腎臓病 / リポカリン / バイオマーカー / 鉄 / 虚血再灌流障害 / ネフロン |
Research Abstract |
平成18年度はヒト及びマウスにおけるNga1の発現調節について詳細に検討した。また共同研究者からNga1欠損動物を入手し、19年度の機能的実験に十分な匹数にまで繁殖させた。 1.マウスの腎虚血再灌流障害および一側尿管結紮による尿細管間質障害において、Neutrophil gelatinase-associated lipocalin(Ngal)のmRNAが腎ヘンレ上行脚・集合管及び肝臓において発現誘導され(Curr Opin Nephrol Hypertens 2006)、産生された蛋白が血液中を循環し、糸球体濾過され、近位尿細管から再吸収され、endocytic vesiclesにNga1蛋白が集積することを明らかにし、腎臓から腎臓へと向かう分泌蛋白の新しい内分泌学的な代謝動態を解明した。 2.小児の開心術後の急性腎不全において、尿中Nga1濃度が超早期に増加し、血清クレアチニン濃度の増加を予測できることを既に発表しているが(Lancet 2005)、今回成人の開心術においても同様の成績を得た(Anesthesiology 2006)。また、腎移植後の拒絶反応の早期に腎生検組織中のNga1蛋白の発現も増加することを明らかにした(Pediatr Nephrol 2006)。さらに慢性腎臓病患者において、尿中Nga1濃度の高値は3ヶ月以内の急性増悪の独立した危険因子となることを見出している(Mori et al.投稿中)。以上の成績から、Nga1発現は急性腎不全のみならず慢性腎不全急性増悪の早期、鋭敏なバイオマーカーとして極めて有用であることを立証した(Kidney Int 2007)。
|