2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎不全に対する血管内皮前駆細胞による再生治療の可能性の検討
Project/Area Number |
18590907
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
緒方 浩顕 昭和大学, 医学部, 講師 (30296959)
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Keywords | 移植・再生医学 / 慢性腎不全 / 血管新生 / 血管内皮前駆細胞 |
Research Abstract |
本研究では、腎不全における再生医療の可能性を検討することを主眼にしている。初年度は、まず腎不全病態下の血管内皮前駆細胞(EPC)の異常を検討するために、安定期血液透析患者および健常人の末梢血中のEPC(CD34及びKDR陽性細胞)数をフローサイトメトリーで測定した。その結果、腎不全患者では健常人に比較して、EPC数は有意に低下しており、既報の結果と一致した。しかしながら、EPC数と患者の心血管障害(心筋症、虚血性心疾患及び末梢血管疾患)とは明らかな関連はみられなかった。 続いて、腎不全ラットモデルを用いて、尿毒症病態下における心臓の病理学的所見を検討した。雄性SDラット(8週齢)に5/6腎摘を行い、高タンパク食を与えた。8週後に屠殺、血液生化学検査、心臓の病理学的所見を検討した。腎不全ラットでは、著明な高窒素血症、貧血、低Ca血症及び高P血症がみられた。病理学的所見では、腎不全ラットでは正常ラットに比較して左心室重量の増大、心筋内細動脈/心筋組織比の低下がみられた。また、心筋配列の錯綜化、心筋内の線維組織の増生が観察された。これらの所見は、uremic cardiomyopathyの特徴に一致する。腎不全での血管新生の低下が心筋障害の原因である可能性を示唆している。つまり、抑制された血管新生が組織のリモデリングに影響を与え、虚血に対する脆弱性を引き起こしている可能性が考えられた。今後、尿毒症病態下の血管新生の低下と循環血液中EPC数の減少の関連を検討していく予定である。
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