2008 Fiscal Year Annual Research Report
異種胎児を用いた自己間葉系幹細胞由来クローン腎臓作製法の開発
Project/Area Number |
18590911
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
横尾 隆 Jikei University School of Medicine, 医学部, 助教 (70301538)
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Keywords | 異種移植 / 腎臓再生 / 胎仔 / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
前年度までにヒト間葉系幹細胞から後腎組織を樹立し尿生成能を獲得させることに成功している。そこで今年度はヒト間葉系幹細胞を集合管系(尿管・集合管)に分化させる試みを行った。将来尿管芽(UB)に分化する細胞群(UB原基)の存在領域に間葉系肝細胞を移植し、その場の内在性シグナルを与えることで、UBへの分化を促した。UBは、中腎の導管として頚胸境界部から総排泄腔へと伸びるウォルフ管の尾端に形成される。胚が大きいため扱いやすく、胎生でないため操作後の胚を卵内で培養できるニワトリ胚を用いた。腎臓発生に必須な遺伝子の発現パターンは、ニワトリと哺乳類間で高度に保存されていることを確認した。蛍光色素DiIを用いた系譜解析の結果、6から12体節期というごく初期の胚の、最終体節近傍の中間中胚葉が、ニワトリのウォルフ管およびUBの原基であった。しかし、間葉系幹細胞をニワトリのUB原基領域に移植しても分化は見られなかった。そこで、UB原基に強く発現している遺伝子であるPAX2を導入した後UB原基領域に移植して発生を継続したところ、間葉系幹細胞は尾側に移動し、移植2日後にはウォルフ管上皮に取り込まれた(投稿中)。さらにRT-PCRを行なったところ、PAX2を導入した間葉系幹細胞は、移植前の時点では、ウォルフ管の発生に必須な遺伝子であるLIM1を発現していなかったが、ウォルフ管上皮に取り込まれた後のhMSCにはLIM1の発現が見られた。これらの結果は、間葉系幹細胞がニワトリ胚内でウォルフ管に分化したことを強く示唆する。遺伝子導入や移植方法の改良により、ネフロン再生のプロトコールと組み合わせて、腎臓全体をヒト間葉系幹細胞から再生できる可能性があると考えている。
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Research Products
(11 results)