2008 Fiscal Year Annual Research Report
腎疾患における低酸素応答機構の解析と血管再生医療の応用について
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18590912
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
宇都宮 保典 Jikei University School of Medicine, 医学部, 准教授 (70231181)
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Keywords | 慢性腎臓病 / IgA腎症 / 腎血管病変 / 腎予後 / 小葉間動脈病変 / 輸入細動脈病変 |
Research Abstract |
慢性腎臓病の腎予後における腎血管病変の意義について 【目的】慢性腎臓病(CKD)の腎予後には、糸球体病変および尿細管間質病変が重要と考えられているが、血管病変の関与は十分に明らかにされていない。そこで、今回、CKDの代表であるIgA腎症を対象に、その腎予後と腎血管病変との関連を検討した。 【方法】当科にてIgA腎症と診断され、経過中に透析導入あるいは生検後5年以上経過を観察しえた124例を対象に、腎病理所見と腎予後(透析導入)との関連を後ろ向きにロジスティック解析を用いて検討した。 【結果】単変量解析では半月体形成、球状硬化、間質線維化、尿細管間質炎、小葉間動脈の線維性肥厚、輸入細動脈硝子化が、いずれも腎予後と有意な相関を認めた。半月体形成、球状硬化で調整した多変量解析では、輸入細動脈病変が、さらに半月体形成および間質線維化で調整した場合には、小葉間動脈病変と輸入細動脈病変が、いずれも腎予後と関連を示した。小葉間動脈病変と輸入細動脈病変に関連する臨床的因子としては、年齢、高血圧、腎機能低下であった。さらに、多変量解析の結果では、小葉間動脈病変には年齢が、輸入細動脈病変には年齢と高血圧が独立した関連因子であった。 【結語】IgA腎症をはじめ、CKDにおいて腎血管病変は腎予後に関与し、小葉間動脈病変の発症には年齢が、輸入細動脈病変には年齢と高血圧が重要であると考えられた。 なお、本研究は本学の倫理審査を受け、患者本人が承諾のうえ、実施したことである。
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