Research Abstract |
平成19年度は18年度の研究実績を基に,さらに展開発展を遂げた。 I,日本人患者特異的CPT II欠損症病因遺伝子変異 平成18年度は,日本全国から集まったCPT II欠損症愚者の遺伝子解析を行うことによって,丁度白人患者にS113L変異とP50H変異が多いように,日本人患者ではF383Y変異が多いことを示した。19年度はそれぞれの患者の家系調査を行うことで患者遺伝子型を確定し,日本人患者集団でのF383Y変異の高頻度を確認した。さらに遺伝子型の決定により,確認し得た患者10名中4例は,F383Y変異と健常型のヘテロ接合体であった。このことは,CPT II欠損症が常染色体劣性遺伝病であるとの従来の見解に沿わない結果であり,さらなる検討が必要である。 II,健常者50名のCPT II遺伝子の遺伝子型の決定 健常者50名のCPT II遺伝子を,SNPを含め直接DNA配列決定法で遺伝子型を決定した。健常者の中には,既に報告されている3個のSNP以外には,日本人患者に見られたF383Y変異などいかなる変異も,いかなる多型も,ヘテロ接合体であっても検出されなかった。3個のSNPの出現頻度は,従来報告のあるものと差はなかった。一方で,C352C型SNPが患者に多い傾向が見られ,より多数の患者での解析が必要である。 III,DHPLCによるCPT II遺伝子の解析 上記健常者50名について,直接DNA配列決定法と並行して,DHPLCによるCPT II遺伝子のマススクリーニングを行った。3個のSNP多型を指標に,2つの方法の結果を対比してみると,完全に一致した。より短期間で結果を得られるDHPLC法の有用性を示している。更に大規模な集団で,実用性を検証する。
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