2006 Fiscal Year Annual Research Report
AQP11ノックアウトマウスにおけるのう胞腎形成機序の解明
Project/Area Number |
18590919
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
小林 克樹 独立行政法人国立病院機構, 千葉東病院臨床研究センター・分子生物研究部遺伝子解析・診断研究室, 室長 (40415451)
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Keywords | aquaporin-11 / AQP11 / PKD / ER stress / アポトーシス |
Research Abstract |
AQP11ノックアウトマウスと野生型マウスの腎組織のアポトーシスについて比較検討したところ、生後3日では両者に明らかな差異は認められなかった。しかし、生後7日になると野生型マウスでは少数の生理的アポトーシスが残存するのみであるのに対し、AQP11ノックアウトマウスでは近位尿細管上皮細胞に強いアポトーシスが誘導されていた。更に、この生後7日の時点で腎臓のexpression microarray analysisを行うと、AQP11-/-マウスではAQP11+/+あるいはAQP11+/-マウスと比較してDdit3(CHOP)・Atf3の発現が著明に増強していた。このことはER stress responseが誘導されていることを示している。またPmaip1(Noxa)の発現も野生型に比べて8倍程度増強していた。しかしながらPmaip1と同様にp53によって発現誘導を受けるとされているBbc3(Puma)の発現は野生型と同程度あった。またそれ以外のアポトーシス関連分子の発現には変化はなかった。以上から、AQP11ノックアウトマウスの近位尿細管上皮細胞では生後7日になるとER stress responseが誘導され、その結果アポトーシスが誘導されると考えられた。次に生後3週の時点における細胞増殖を検討したところ、AQP11ノックアウトマウスののう胞上皮細胞では増殖している細胞の特異的マーカーであるPCNA陽性を示す細胞が多く存在していた。さらにmTOR活性化の代理マーカーであるリン酸化p70 S6 kinase (p-p70 S6 kinase)陽性を示す細胞も増加していた。最後にmTORの抑制薬であるラパマイシンを腹腔内投与するとのう胞形成を著明に抑制した。以上のことはAQP11ノックアウトマウスにおけるのう胞上皮細胞の細胞増殖はmTORの過度の活性化によって引き起こされていると考えられた。上記のことを総合すると、(1)AQP11の欠損により近位尿細管上皮細胞にER stress由来のアポトーシスが誘導され細胞が脱落する。(2)脱落した尿細管上皮を補うために残存している尿細管上皮細胞の増殖が刺激されるが、これは異常なmTORの活性化を惹起し、最終的にのう胞形成に至る、という発症病理が想定される。
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Research Products
(1 results)