2008 Fiscal Year Annual Research Report
AQP11ノックアウトマウスにおけるのう胞腎形成機序の解明
Project/Area Number |
18590919
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Research Institution | Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization |
Principal Investigator |
小林 克樹 Clinical research Center, Chiba-East National Hospital, National Hospital Organization, 臨床研究センター病態機能研究部, 室長 (40415451)
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Keywords | アクアポリン / 多発性嚢胞腎 / 小胞体ストレス / mTOR / ラパマイシン / AQP11 |
Research Abstract |
平成20年度は前年度までのことを踏まえて解析を進め、以下の2点を明らかにした。(1)近年、嚢胞腎関連遺伝子産物の多くがprimary ciliaに関係していることが示されている。そこで我々はAQP11ノックアウトマウスでのprimary ciliaを検討した。生後0日・3日・7日のAQP11ノックアウトマウスおよび野生型マウスの腎臓を4%PFAにて固定した後、抗アセチル化チュブリン抗体を用いて免疫組織染色を行ったが、いずれの時点でも野生型マウスと同様にノックアウトマウスでもprimary ciliaは認められ、形態学的な差異は認められなかった。更にマウス胎児性線維芽細胞を作製し、同様に免疫組織染色を行ったが、やはり差異は認められなかった。機能的に差異があるかどうかは明らかではないが、少なくとも形態学的にはAQP11ノックアウトマウス腎のprimary ciliaに異常はないと考えられた。以上のことはRenal Week 2008(ASN)にて発表し、第52回日本腎臓学会学術総会で発表予定である。(2)AQP11ノックアウトマウスの腎臓を、抗CHOP抗体を用いて免疫染色を行うと生後7日・生後14日・生後21日のいずれにおいても空胞を形成した近位尿細管上皮細胞全てはCHOP陽性であり、並行してTUNEL染色も行うと上述の細胞はほぼ全てTUNEL陽性すなわちアポトーシス陽性であった。すなわち皮質のほとんどの近位尿細管上皮細胞は小胞体ストレスによるアポトーシスを起こしていた。しかし極めて興味深いことに、抗AQP1抗体を用いた免疫染色を行ったところ、皮質の深部に存在する近位尿細管は上記のアポトーシスを免れて生き残り、生後21日には活発に細胞増殖し嚢胞を形成していた。この細胞増殖は我々が以前より見出していたmTOR依存性のものであり、rapamycin投与により著明に抑制された。以上からAQP11ノックアウトマウスの嚢胞腎形成においてはアポトーシスと細胞増殖の両方に異常が生じているものの、その場所と時期はいずれも異なることが判明し、これは今までの嚢胞腎動物モデルでは見出せなかった非常に重要な知見と考えられた。尚、これらのことは現在投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)