2006 Fiscal Year Annual Research Report
免疫グロブリンによる多発性硬化症の樹状細胞と免疫記憶制御機構の解析
Project/Area Number |
18590923
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 一男 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (70280873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 一郎 東北大学, 病院・助手 (50333810)
糸山 泰人 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30136428)
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Keywords | 多発性硬化症 / 脱髄疾患 / 免疫グロブリン / 樹状細胞 |
Research Abstract |
多発性硬化症(MS)は、再発と寛解を繰り返す中枢神経の炎症性脱髄疾患である。免疫グロブリン静注射療法(IVIG)はMSの再発抑制に有効であるとする報告があるが、MSの免疫病態において再発に関与していると考えられる樹状細胞(DC)に対する作用について検討した報告はきわめて少ない。我々は、末梢血単球からモノカインを用いて樹状細胞を分化させる系で、IVIGで用いられるIgGの影響について検討した。 1.健常人由来単球を用いると、IgGは未熟DC(imDC)のマーカーであるCDla、T細胞活性化に関わるCD40及びCD80の発現を部分的に抑制したが、成熟DC(mDC)のマーカーであるCD83の発現を、逆に増強した。 2.また、IgGはmDCが血液脳関門(BBB)を通過するために必要なホーミング分子であるCD49d(VLA-4のα4-インテグリン)の発現を顕著に抑制した。CD49dの中和抗体にはMSの治療効果があることから、実際に再発寛解型のMS患者末梢血に由来する単球でIgGの効果を調べたところ、健常人と同じ結果が得られた。 3.さらに、IgGは健常人、MS患者ともに、DC成熟化に伴うIL-12の産生を抑制したか、IL-10の産生は抑制しなかった。 以上の結果を総合すると、IgGは従来知られている炎症制御作用以外に、DCの成熟過程の制御、中枢への移行抑制、サイトカインプロファイルへの影響によって、MSの再発を抑制している可能性が示唆された。
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Research Products
(30 results)