2007 Fiscal Year Annual Research Report
アポリポ蛋白E遺伝子改変マウス脳における酸化ストレスとアミロイドβ蛋白
Project/Area Number |
18590924
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
玉岡 晃 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50192183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨所 康志 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80447250)
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Keywords | 老化 / ストレス / 痴呆 / 脳神経疾患 / 内科 |
Research Abstract |
アルツハイマー病(Alzheimer's disease; AD)脳の主な病理学的特徴である細胞外に沈着する老人斑や脳血管アミロイドの主要構成成分としてはアミロイドβ蛋白(amyloid β protein; Aβ)が同定されている。一方、ADの大半を占める孤発性のADの主要な危険因子はアポリポ蛋白E(APOE)の4型(APOE-E4)であることが確立している。APOE-E4がADを促進する機序は未だ確立したものは無いが、申請者はAPOE-E4のAD脳がE3のものよりも過酸化脂質の増加が認められたことより、酸化ストレスに注目してきた。本年度は酸化ストレスを生じると考えられる両側総頚動脈をナイロン糸で縛った慢性脳虚血ラット(BCAO)を用いて、免疫組織化学的および生化学的にAβの発現を検討した。[目的]低灌流による酸化ストレスがBACE1に与える影響も検討した。[方法]慢性低灌流の効果を解析するために、生後6週の雄性Wistarラットを用い、両側総頚動脈を永久結紮するモデルを作製し(BCAO群)、結紮を行わない群を対照群とした。免疫組織学およびELISAを用いてAβ分子種を検討し、BACE1についても分析した。[結果および考察]BCAOラットにおいて病理組織学的に皮質領域にて神経細胞の脱落および空胞変性が認められた。また、皮質領域においてAbeta40、 Abeta42の沈着を認め、あわせて血管周囲にIgGの組織内への浸透を認めた。BCAO群では一部にBACE1の増加が認められた。また、ELISAでは、皮質においてAbeta(1-40)はBCAO群がコントロール群に対して、有意に高値であった。Abeta(1-42)も同様に、BCAO群にて有意に高値であった。一方、皮質下組織においては、どちらも、有意差は認められなかった。BACE1に関しても免疫組織化学にてBCAO群で染色性の増加が認められた。[結論]慢性脳虚血によりAbetaが沈着することは、ADの脳血管障害による影響との関連について示唆に富むものと考えられた。虚血による酸化ストレスによりBACE1が誘導される可能性も示唆された。
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Research Products
(5 results)