Research Abstract |
本研究課題は,コレステロール産生制御剤として開発されたstatin(HMG-CoA還元酵素阻害剤)がβ-amyloidおよびリン酸化タウ産生に及ぼす効果について,神経系の培養細胞モデルを用い,その分子基盤を明らかにする目的で実施している. まず,神経系の培養細胞モデルとして,neuroblastoma由来のSHSY-5YおよびNeuro2a(N2a)細胞,またglioblastoma由来のC6細胞に,Swedish変異を有するアミロイド前駆体タンパク(APP)遺伝子を安定発現する培養細胞を構築した.培養細胞に,statin(濃度:0-20μM)を添加し,16時間後にライセイトおよび培養上清(conditioned medium)を回収し,APPの発現レベルとAβ産生について検討した.脂溶性statin(simvastatin, atorvastatin, lovastatin)を添加した場合には,ライセイト中の,全長APPとC末端断片(CTF)は増加する傾向を認め,特に高濃度(10-20μM)においては,Aβ42/40比率が上昇した.また,細胞表面ラベルでは,成熟型APPおよびBACE1が上昇していた.水溶性statinであるpravastatinではAβ,APP-CTF, BACE1に変化を認めなかった.PS1(全長型・断片型)の産生量にはいずれのstatinでも明らかな変化を認めなかった. リン酸化タウへの影響については,タウを安定発現する培養細胞の作成を行っている.
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