Research Abstract |
本研究課題は,コレステロール合成阻害剤として開発されたstatin(HMG-CoA還元酵素阻害剤)がアルツハイマー病関連分子であるβ-amyloidおよびリン酸化タウ産生に及ぼす影響について,神経系の培養細胞モデルを用い,その分子基盤を明らかにする目的で平成19年度の研究を実施した. 今年度は,タウ4R1N isoformを安定発現する神経系培養細胞(Neuro2a細胞,SHSY-5Y細胞)を樹立した.タウの発現は,Tau-5抗体,AT-8抗体,AT270抗体および12E8抗体を免疫ブロットにて確認した.この細胞溶解液を,Tris可溶性分画,1%サルコシル可溶性分画および不溶性分画に分離し解析をおこなった.タウは各分画で検出され,statin添加による明らかなタウの溶解性に変化は認めなかった. タウのリン酸化部位の多くは,Ser/Thr-prolineというアミノ酸配列を有し,この部位のリン酸化はプロリン指向性キナーゼが行う.こられのキナーゼの代表的なものとして,GSK3βが知られており,statinによるGSK3βの挙動について解析を行った.タウ安定発現培養細胞にstatinを添加し,上述の分画化を行い,総GSK3βおよびリン酸化GSK3β(Ser9)を免疫ブロットで検証した.Statin添加により,GSK3βのリン酸化レベル,あるいは溶解性に明らかな変化は認めなかった.
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