2006 Fiscal Year Annual Research Report
アプラタキシン欠失による一本鎖核酸損傷修復障害と神経変性の関連についての解析
Project/Area Number |
18590931
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
五十嵐 修一 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60345519)
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Keywords | aprataxin / DNA repair / ataxia / EAOH / oxidative stress / cerebelllum / SSBR |
Research Abstract |
「眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症(EAOH/AOA1)」は発症初期に眼球運動失行を伴い,進行期に低アルブミン血症・末梢神経障害を伴う常染色体劣性遺伝性脊髄小脳変性症の一型である。病因蛋白Aprataxin(APTX)は一本鎖DNA修復に関連した機能が推定されている。しかしながら一本鎖DNA修復(SSBR)障害とEAOHでの神経変性メカニズムの関連に関しては、明らかにされていない。 SSBR関連蛋白であるXRCC1,PNKP, PARP, LigIII, PolβおよびAPTXのGFP融合蛋白を作成し、SSBR関連蛋白の細胞内局在の確認ならびにDNA損傷ストレス後の細胞内局在の変化を共焦点レーザー顕微鏡ならびに蛍光顕微鏡を用いて比較検討した。APTXは核に局在し、特に核小体に強い局在を認めた。また、PARPも同様の局在を示した。PNKPとPolβは核に局在を示し、XRCC1は核にびまん性の局在を示したが、核小体への発現は認められなかった。LigIIIは核質での発現はXRCC1と同じびまん性の局在を示し、核小体への移行も認められた。 APTXはTopoisomerese I阻害剤(CPT)刺激により経時的に核小体から核質への移行が確認された。またXRCC1は経時的に核質にて点状の集積形成を示した。しかしながらPARPやPNKPについては明らかな局在の変化は認められなかった。 過酸化水素刺激により、APTXは局在の変化はを認められなかった。また、PARPやLigIII, Polβも明らかな局在の変化を認められなかったが、一方、PNKPは核小体から核質への移行がみられた。 以上の結果から、APTXは一本鎖DNA修復のプロセスに関与し、中でもTopoisomerase I mediated single strand break repairがEAOHの神経変性プロセスに関与する可能性が示唆された。Topoisomerase I mediated single strand break repairに関与するTdp1を原因遺伝子とするspinocerebellar ataxia with axonal neuropathy(SCAN1)の表現型が、本疾患に類似している点は小脳変性のメカニズムを考察する上で大変興味深い。
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Research Products
(3 results)