2007 Fiscal Year Annual Research Report
タウ蛋白機能を制御する活性複合体を介した認知症脳神経細胞変性の病態解析
Project/Area Number |
18590939
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川又 敏男 Kobe University, 医学部, 教授 (70214690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 潔 神戸大学, 医学部, 教授 (80116251)
小野 功貴 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (10243297)
向井 秀幸 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 准教授 (80252758)
高橋 美樹子 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 講師 (90324938)
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Keywords | 認知症 / アルツハイマー病 / タウ蛋白 / 蛋白リン酸化酵素 / 蛋白脱リン酸化酵素 / 神経細胞 / 変性 / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、アルツハイマー病をはじめとする変性性認知症の神経細胞変性・神経細胞死に関連すると考えられているタウ蛋白代謝異常の病態を、タウ蛋白機能に影響するリン酸化状態を調節する複数の蛋白リン酸化酵素や蛋白脱リン酸化酵素、あるいはそれら酵素と会合する巨大scaffold分子との相互作用の視点から解析することである。 巨大な細胞内Centrosomal and Golgi PKN anchoring protein(CG-NAP)分子あるいは類似構造をもちCG-NAPと複合体を形成するkendrin分子と、複数の蛋白リン酸化酵素・蛋白脱リン酸化酵素、アクチン・タウ分子など細胞骨格関連分子、細胞内輸送関連分子との細胞内相互作用を、高感度免疫組織化学法を用いて形態学的に解析した結果、認知症ヒト脳組織において神経原線維変化(タングル)にはCG-NAPのみが異常リン酸化タウ蛋白と共存し、kendrinは認められなかった。このことは、タングル形成と微小管による細胞内輸送機構との関連に示唆を与える。加えて、蛋白脱リン酸化酵素の活性調節や細胞内蛋白の高次構造調節・会合・輸送等への関与が知られ、アミロイドAβ蛋白の細胞内ドメインに結合するFKBP12とタングルとの関連を明らかにした。また、Aβ可溶性オリゴマーによって惹起される神経細胞死過程への関与が判明しつつあるsphingomyelinase、sphingosineや、神経細胞変性に関与するceramideなど脂質代謝の重要分子の変性神経細胞内分布を解析し、タングルとの関連を明らかにしつつある。さらに認知機能障害を示すParkinson病や統合失調症において、前者の前頭葉機能障害を解析すると共に、後者の前頭葉皮質における遺伝子発現異常を解析し蛋白リン酸化酵素ERKによりリン酸化調節を受けシナプス可塑性と関連するKLF5の発現低下を報告した。
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Research Products
(2 results)