2007 Fiscal Year Annual Research Report
Aβ新規関連タンパンβ-Alcのアルツハイマー病診断マーカーとしての臨床応用
Project/Area Number |
18590940
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
浦上 克哉 Tottori University, 医学部, 教授 (30213507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 利治 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (80179233)
谷口 美也子 鳥取大学, 医学部, 助教 (50335527)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / APP / アルカデイン / セクレターゼ / β-Alc |
Research Abstract |
アルカデインは、神経細胞膜上でアルツハイマー病(AD)の原因遺伝子の一つであるAmyloid precursor protein(APP)と協働することが判明しており、APPの切断と同調してアルカデインの切断ペプチドも出現する。APPから産生されるAβは脳内に蓄積して凝集するのに対して、アルカデインの代謝産物β-Alcは凝集しないため、脳内から髄液中に排出され、それから血中へ移行する。このβ-Alcを定性・定量することで、ADの脳内でのAβの産生量、凝集量を推測することができ、β-Alcは、Aβの病態を反映したマーカーとなり得る可能性があるため、このペプチドの体内での挙動を解明し、AD診断マーカーとしての有用性を検討することを目的とした。アルカデインには3つのアイソフォームα,β,γがあるが、そのうちアルカデインα,βからセクレターゼによって切断されて産生されるβ-Alcαとβ-Alcβの切断サイトを明らかにし、髄液中において検出されて測定可能であることが分かった。また、AD患者の髄液中のβ-Alcは、切断される部位が健常者とは数アミノ酸ずれる可能性があり、また定量的検討では健常者と比較して産生量が増加している可能性が示唆されている。 本年度は臨床サンプルを用いて、AD診断マーカーとしての有用性を検討した。AD30例、コントロール8例の髄液を用いて、β-ALcαをELISA法で測定した。その結果ADではコントロールに比較して髄液中β-ALcαは有意に高値をとることが分かった。また、髄液中リン酸化タウ蛋白181とアミロイドβ蛋白1-42との相関を検討したところ、アミロイドβ蛋白1-42とは相関しなかったが、リン酸化タウ蛋白181とは有意に相関していた。今回の検討から、髄液中β-ALcαの測定のAD診断マーカーとしての可能性が示されたが、今後臨床症状との相関やその他の認知症との鑑別に役立つか否かなど検討していきたいと考える。
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Research Products
(4 results)