2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病における細胞内アミロイドβを標的とする治療薬開発
Project/Area Number |
18590948
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大八木 保政 九州大学, 大学院医学研究院, 助教授 (30301336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本村 今日子 九州大学, 大学院医学研究院, 技術職員 (20380644)
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβ蛋白 / p53 / アポトーシス / 塩酸アポモルフィン / プロテアソーム / 神経保護 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
アルツハイマー病(AD)の病態機序として、アミロイドカスケード説が広く知られている。これは、細胞外蓄積アミロイドβ蛋白(Aβ)による神経毒性を主因とする仮説である。従って、高凝集性Aβ42の産生抑制や、あるいは凝集抑制・分解促進が治療薬として有力と考えられている。一方で、神経細胞内に蓄積するAβによる神経毒性の重要性が近年提唱されている。我々は最近、その機序としてAβ42のp53プロモーター活性化作用を報告した。この経路の亢進がADにおける神経細胞死に重要な機序の一つとすると、ADの治療・進行防止薬として細胞内蓄積のAβとp53の分解を促進する薬剤が必要である。そのため、神経芽細胞腫のSH-SY5Y細胞内にAβを蓄積させ、その分解過程を定量的に解析する実験系を確立した。細胞内の主要蛋白分解酵素の一つであるプロテアソームの阻害薬MG132を加えると細胞内Aβの分解が抑制されたが、塩酸アポモルフィン(APO)を加えるとその抑制が減弱し、Aβ分解が回復した。さらに、H_2O_2添加によるアポトーシス誘導系では、p53蛋白増加の抑制と細胞生存率の顕著な改善が見られた。以上より、APOは神経細胞内の過剰蓄積Aβ42とp53の分解を促進し、ADにおける神経細胞死を抑止する治療薬候補と考えられた。さらに、マウス初代培養神経細胞でもH_2O_2添加アポトーシス誘導におけるAPOの細胞保護効果を検討した。H_2O_2添加で著明に低下した生存率がAPO添加により有意に回復した。また、抗β-tubulin抗体免疫染色でも形態学的に多数の神経細胞の残存とネットワーク構造の維持・保護を認めた。さらに、SH-SY5Yのプロテアソーム活性測定で、H_2O_2添加による活性低下とAPOの活性上昇作用を認めた。以上より、APOが実際の神経細胞でもプロテアソーム活性の上昇作用と保護効果を有することが証明された。
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Research Products
(4 results)