2006 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス誘導遺伝子、スタニオカルチン2の細胞死抑制作用と神経疾患での役割
Project/Area Number |
18590955
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
伊東 大介 慶應義塾大学, 医学部・助手, 専任講師 (80286450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 重明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50276242)
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Keywords | 小胞体ストレス / スタニオカルチン2 / アポトーシス / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
Aim1: STC2の神経細胞保護作用の分子機構の解明:過度もしくは持続する小胞体ストレス下では細胞にアポトーシスが誘導されることが知られている.この細胞死のプロセスは、近年大きく注目され、数多くの報告が見られる.我々はsiRNA、強制発現培養細胞にてスタニオカルチン2(STC2)が小胞体ストレス細胞保護作用示すことを確認しているが、現段階ではその分子機構は不明である.まず、STC2の生理活性が、細胞外からか、もしくは細胞内で直接作用するかを解明するため、小胞体のretention signal (KDEL)を導入し非分泌型STC2を作成した.非分泌型STC2は、細胞死に対する効果の評価をするため、Hela cellsに遺伝子導入そしてthapsigargin投与後、Hoechstにて染色、蛍光顕微鏡にてアポトーシスを同定しその細胞数をカウントした.アポトーシスを示した細胞の割合は、empty vector 20.3±2.6%、野生型STC2 14.5±1.25%、STC2-KDEL16.58±2.91%と分泌型STC2(野生型)にのみ細胞保護作用を認めたが(p=0.008)、非分泌型STC2(STC2-KDEL)には、小胞体ストレス細胞保護作用は認めなかった。したがって、STC2の細胞保護作用は、細胞外から作用していると考えられた。今後は、STC2の受容体を含め、生化学的な更なる検討を試み細胞内シグナル伝達機構の解明を目指す。 Aim2: STC2ノックアウトマウスの作成とSTC2機能のIn vivo解析:本研究の最終的な目標はSTC2の個体レベルでの生理作用、そして疾患への関与、役割を解明することにある.そのためにSTC2ノックアウトマウスを作成しその表現型、そして疾患モデルの適用により病態での意義を検討することを目標とする.ノックアウトマウスのマウスの作成は順調に進み、相同組み換えES細胞株(#107)を受精卵にマイクロインジェクションし、キメラマウスそしてF1ヘテロ変異体をすでに得ている。F1ヘテロ変異体には、発生過程、繁殖性、形態学的異常は見られていない。現在C57BL/6とのコンジェニックを作成し、今後STC2(-/-)の表現型解析にとりかかる。我々はSTC2は脳虚血時に神経細胞で発現が亢進し、虚血性神経細胞障害に関与している可能性を報告している。したがって、まず最初の神経疾患へのアプローチとして、当研究室ですでに多くの経験がある中大脳動脈一過性閉塞モデル(intraluminal filament法^<{Ito,2001 #39}>にて90分間閉塞後再潅流)をSTC2ノックアウトマウスで作成しTUNEL染色、TrC染色、クリスタルバイオレット染色し、当研究室所有のComputerized digital image analysis systemを用いて梗塞巣を定量する。
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Research Products
(2 results)