2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590960
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中野 智 関西医科大学, 医学部, 講師 (30333206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新出 明代 関西医科大学, 医学部, 助手 (10368235)
伊東 秀文 関西医科大学, 医学部, 助教授 (20250061)
日下 博文 関西医科大学, 医学部, 教授 (70250066)
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Keywords | 脳神経疾患 / 病理学 / ミオパチー |
Research Abstract |
封入体筋炎は骨格筋の筋線維内に、電顕上管状フィラメント状の封入体を認める自己免疫性炎症性ミオパチーであるが、高齢者発症の筋疾患では最も多数を占める。封入体筋炎の筋細胞では核輸送の障害が疑われることから、主な核膜、核内蛋白の分布を免疫組織化学的に検討したところ、histone H1が核膜を超えて細胞質に遊離している像、また、封入体筋炎の病理学的特徴である縁取りのある空胞を縁取りしている像が得られた。封入体筋炎との対照例の生検筋でhistone H1の分布を免疫組織化学的により検討した結果、空胞化筋線維の約6割にhistone H1の異常沈着がみられた。免疫蛍光法によりhistone H1、核膜マーカー、DNAの3重染色を行い、histone H1の細胞質への遊離を観察した。結果は、種々の疾患対照例と比べ封入体筋炎では明らかにhistone H1の核外遊離が際立っていた。以上の封入体筋炎におけるhistone H1に関する研究結果は現在投稿中である。 DNA二本鎖の切断があるとhistoneH1が細胞質に遊離される。そこで、DNA切断のマーカーであるhistone 2AXのリン酸化型(γH2AX)について特異抗体を用い封入体筋炎組織で検討した。その結果、核および空胞にγH2AXの反応性の亢進が認められ、蛍光顕微鏡下でも、γH2AXはDNA上に観察された。DNA二本鎖の切断によっで起こる反応には、ATM-Chk2系が関与するものとATR-Chk1系が関与するものとがあるが、封入体筋炎ではATM-Chk2系が関与していると推定される結果を得つつある。またDNA二本鎖切断の修復機構のうち、非相同末端結合修復に関わるDNA-PKcs、Ku70が空胞化筋線維に観察された。これらのγH2AX以下の結果については投稿準備中である。
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