2006 Fiscal Year Annual Research Report
サルコメア関連タンパク質の異常による遺伝性筋疾患の病態解明
Project/Area Number |
18590964
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
南 成祐 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第一部, 併任研究員 (20392417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西野 一三 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第一部, 部長 (00332388)
林 由起子 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第一部, 室長 (50238135)
野口 悟 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第一部, 室長 (00370982)
埜中 征哉 国立精神・神経センター, 神経研究所, 名誉職員 (80040210)
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Keywords | 臨床遺伝学 / 分子病理学 / 神経・筋疾患 / サルコメア / カルパイン3 / cDNAマイクロアレイ / ミオフィプリラーミオパチー |
Research Abstract |
1.カルパイン3異常症のcDNAマイクロアレイ解析: カルパイン3異常症の患者の骨格筋組織では、病初期には局所的な筋細胞の壊死と再生が見られるが、次第に筋細胞の内部構造(おもに筋原線維の配向)が乱れた分葉線維と呼ばれる筋線維が多数認められるようになる。我々は、とくに分葉線維の形成メカニズムに着目し、カルパイン3蛋白質の生理的機能と密接な関連性があるとの仮説のもと、この形成過程における遺伝子発現の網羅的解析をおこなった。 壊死・再生期の骨格筋3例、分葉線維期の骨格筋4例、コントロール筋2例について、我々の研究室で独自に開発しているcDNAマイクロアレイを用いて解析をおこない、遺伝子発現量を比較した。 その結果、分葉線維期の骨格筋で特に発現が変化を示した遺伝子が29個同定された。この中には、ゲルゾリン、PDLIM3、トロポニン11のような、アクチン線様結合蛋白質や調節蛋白質が含まれており、その発現量上昇はウエスタンブロットでも確認された。これらの結果から、我々は、アクチン結合蛋白質の異常な遺伝子発現の上昇が、カルパイン3異常症の分葉線維として認められる筋原線維の配列の撹乱に関与している可能性を提唱する。 2.ミオフィブリラーミオパチーの遺伝子変異検索: 本疾患が疑われる患者55名を筋病理学的に抽出し、検索対象とした。既知の原因遺伝子のうち、デスミン遺伝子とαB-クリスタリン遺伝子の解析を完了し、デスミン遺伝子変異を1名に認め、αB-クリスタリン遺伝子変異は認めなかった。これは従来報告されている海外での頻度よりもかなり低い結果であった。ZASP遺伝子とミオティリン遺伝子の検索については、これまでに7割が終了した。また、新規候補遺伝子として、アクチン重合制御タンパク質であるコフィリンに対するPCRプライマーを作成し、解析を開始している。次年度も引き続き解析を進めていく予定である。
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