2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18590972
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荻原 健英 東北大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40361068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石垣 泰 東北大学, 病院・助手 (50375002)
山田 哲也 東北大学, 病院・助手 (90400374)
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Keywords | 内科 / 再生医学 / 糖尿病 / 骨髄移植 |
Research Abstract |
まず、ストレプトソトシン(STZ)投与により作製したインスリン欠乏性糖尿病モデルマウスに骨髄移植を行うことで、膵β細胞の再生による高血糖の改善が認められた。この再生膵島は、recipient由来であり、その周囲にdonor骨髄由来の血球系(CD45陽性)細胞の集積が認められた。これらの細胞は、各lineageのマーカー蛋白は陰性で、また、PECAM1発現もきわめて限定的であった。また、BrdU染色を経時的に行ったところ、骨髄移植後比較的早期から、膵導管細胞や膵島内の細胞の増殖が認められた。さらに、骨髄からの細胞動員が傷害されていることが報告されているNOS3欠損マウスを用いて同様の実験を行っても、高血糖の改善や膵β細胞の再生は生じなかった。以上から、骨髄移植を行うことで、骨髄由来の未分化細胞が膵に集積し、膵導管に存在すると報告されている組織progenitor細胞の増殖・分化を惹起し、膵β細胞を再生させる機序が考えられた。つまり、通常では、末梢血中にほとんど見出すことのできない未分化骨髄細胞が、放射線照射による骨髄抑制と骨髄細胞の移植を行うことにより、末梢血中に出現し、これがSTZにより傷害を受けた膵島周囲に集積し、膵島細胞の増殖を惹起するものと考えられた(Endocrinology in press)。そこで、骨髄移植と同様に、骨髄抑制後の回復を誘導するため、STZ処置により作製したインスリン欠乏モデルマウスに5・FUなどの化学療法剤投与を行った。骨髄移植に比べ不完全ではあったが、膵島の再生による高血糖の是正が観察され、膵β細胞再生を惹起する治療法開発につながる結果と考えられる。
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