2007 Fiscal Year Annual Research Report
Smadシグナルにより血管壁細胞に発現誘導される新規動脈硬化抑制因子の解明
Project/Area Number |
18590976
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横手 幸太郎 Chiba University, 大学院・医学研究院, 講師 (20312944)
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Keywords | 動脈硬化 / TGF-β / マクロファージ / Smad3 / MCP-1 / 炎症 |
Research Abstract |
多機能サイトカインTGF-βの細胞内シグナル伝達分子に着目し,動脈硬化に対する新しい治療法の開発に結びつけることを目的として研究を実施した。TGF-βの主要シグナル分子であるSmad3とアポEのダブルノックアウトマウス(以下KO)を作成し,高脂血症に基づく粥状動脈硬化病変へのSmad3の役割をin vivoならびにin vitroの検討により検討した。ApoE/Smad3ダブルKOは,通常餌による飼育下において,対照であるApoE KOに比べ大動脈に著しい粥腫を形成した。ダブルKOマウスの粥腫は泡沫化マクロファージに富み,コラーゲン沈着が減少していた。マクロファージの集積が増加した背景として,ダブルKOマウスでは組織における単球遊走因子MCP-1が恒常的に高発現していた。In vitroの検討において,Smad3欠損マクロファージでは,TGFβによるMCP-1の発現抑制作用が失われ,その機序としてはSmad3分子がMCP-1プロモーターへ結合し,遺伝子発現を修飾することが示唆された。また,Smad3欠損マクロファージでは野生型マクロファージに比べTGFβによる細胞増殖抑制効果がほぼ消失し,TGFβによる細胞周期抑制蛋白の発現上昇が失われていることが明らかとなった。以上のことから,粥状動脈硬化巣においてマクロファージに発現するSmad3は,炎症性遺伝子発現の抑制と細胞増殖抑制性遺伝子の発現を通じ,病変抑制的に働くことが示唆された。
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Research Products
(4 results)