2007 Fiscal Year Annual Research Report
食後血管組織で活性化される炎症関連転写因子の活性化と遺伝子応答を明らかにする。
Project/Area Number |
18590981
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西尾 善彦 Shiga University of Medical Science, 医学部, 講師 (40281084)
|
Keywords | インスリン / 転写因子 / C / EBP / 炎症関連遺伝子 |
Research Abstract |
食後の血管組織で活性化される遺伝子発現を検討する目的で,培養血管平滑筋細胞を用いてインスリンによる遺伝子発現調節機構として転写因子C/EBP-betaおよびdeltaの遺伝子発現を検討した。インスリンは生理的濃度である10nmol/LにおいてC/EBP-βおよびdeltaのmRNAの発現を増加させ,C/EBPの標的遺伝子であるMCP-1遺伝子の発現をmRNAおよび蛋白のレベルで増加させた。このインスリンによる遺伝子発現調節はP13K阻害剤であるLY294002で完全に抑制された。またchromatin immunoprecipitationassayによりMCP-1遺伝子のプロモーター領域へのC/EBPの結合がインスリンにより増加することが確認できた。 さらに,高果糖食ラットでの検討から,高果糖食によって誘導される高インスリン血症の程度と血管壁における転写因子C/EBP-betaおよびdeltaのmRNA発現が有意な正の相関関係を示したこと,一方,血管壁でのC/EBP-βのmRNA発現の程度とMCP-1mRNA発現には極めて良好な正の相関(r=0.90,p<0.001)が認められた。 以上のことから,食後の高インスリン血症は血管平滑筋細胞においてPl3キナーゼを活性化を介して転写因子C/EBPの発現を増加させ,MCP-1をはじめとする炎症関連遺伝子の発現を増加させていることが明らかになった。
|