2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞分化とインスリン抵抗性におけるアンジオテンシン受容体サブタイプの重要性
Project/Area Number |
18590992
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岩井 将 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00184854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 正嗣 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40150338)
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Keywords | アンジオテンシン受容体 / 脂肪細胞 / 細胞分化 / AT1受容体ブロッカー / 動脈硬化 / インスリン感受性 / アディポサイトカイン / 転写調節因子 |
Research Abstract |
本年度は最終年度であり、脂肪細胞分化に対するアンジオテンシンII受容体サブタイプでのうち、特にAT2受容体の役割を遺伝子欠損マウスを用いてさらに検討し、これまでの成果を学会及び論文に発表した。 動脈硬化モデルマウス脂肪組織分化、炎症反応におけるAT2受容体の役割:AT2受容体欠損の役割をさらに明確にするために、AT2/ApoEKOマウスとApoEKOマウスに高コレステロール食を4週間投与したのち脂肪組織を採取し、形態学的ならびに生化学的検討を行った。AT2/ApoEKOマウスでは脂肪細胞の小型化、アディポネクチン・PPARγの発現低下、C/EBPαとaP2の増加など、AT1受容体欠損マウスと逆の変化が認められた。これらの結果から、脂肪細胞の分化に対してAT1受容体とAT2受容体は互いに相反的に作用し、脂肪蓄積や動脈硬化性病変形成に関与することが判明した。 AT2/ApoEKOマウスにおける脂肪組織の変化に対するAT1受容体ブロッキングの効果:AT2/ApoEKOマウスにおいて残ったAT1受容体刺激の関与の有無を調べるため、これにAT1受容体ブロッカー(ARB)を投与してその効果を検討した。 ApoEKOマウスではARB投与により、脂肪細胞の縮小に加えて脂肪分化マーカーの発現が増加した。しかし、AT2/ApoEKOマウスにおいては、ARBの効果はほとんどみられなかった。 以上の結果より、脂肪組織におけるAT1受容体刺激は、細胞分化を抑制し、大細胞化を引き起こし、脂肪蓄積やインスリン感受性の低下を引き起こし、ARBはその変化を抑制することが推測されるが、ARBの効果には残余のアンジオテンシンIIによるAT2受容体も関与すると考えられる。
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Research Products
(4 results)